商法(第674条)では「他人の生命保険で保険金を受け取る契約には被保険者の同意が必要」という規定があり、遺族側は「同意を前提に遺族補償の趣旨から保険金を遺族に支払うべき」と主張していた。しかし最高裁では、「社内規定で定めた金額を超える保険金を遺族に支払うことは会社と遺族側が合意したと認められない」ため遺族側に請求の理由がないとした。ただし受け取った保険金を漫然と次の保険料に充当し続けたことや、1人当たり6000万円を超える保険金のうち遺族には1000万円前後しか支払わなかったことなどは、「従業員の福利厚生という本来の保険の目的」を軽視したものと強く批判。補足意見として「労働組合役員への口頭説明を全社員の同意に代えており、従業員のほとんどは保険の存在さえ知らず保険契約は無効。会社が保険金を受け取れたこと自体に重大な疑問がある」と述べている。
<< 一覧へ戻る