警察の取り締まり強化と不況で減少傾向にあった総会屋。だが、今年に入り休眠していた総会屋が活動を再開したり、総会への出席も増え活発化の兆しを見せている。総会屋の数も下げ止まり気味で、警察当局は「根強く活動している証拠。結局、企業のコンプライアンス(法令遵守)が根絶の決め手だ」としている。
警察庁によると、昨年末の総会屋数は約420人。1983年当時の4分の1まで減ったが、最近の4年間をみると400人前後で推移している。昨年1年間に株主総会に出席した総会屋は前年比30人減の199人、出席した企業数も132社と23社減だった。ところが企業の本社が集中する東京に限ると、警視庁の調べでは今年1月から5月までに総会に出席した総会屋は89人と前年から38人増え、実際に発言した総会屋も31人(前年比15人増)、出席企業数41社(同3社増)と増加に転じている。新たに総会に参加できる単位株を取得したり、質問状を送り付けたりして企業に圧力をかける動きも確認されている。
一方、企業側は開催集中日を避けたり、一般株主による質疑応答に十分な時間を取るなど「開かれた総会」を目指す傾向が一段と強まっている。警察庁幹部は「総会に時間がかかるのが当たり前になれば、総会屋の存在意義もなくなるが、荒れる総会を恐れる企業心理はまだまだ残っている」としている。
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