公正取引委員会が、カルテルや私的独占などの独占禁止法違反行為に対して、事業者の調査への協力・非協力の程度等を勘案して、公正取引委員会の裁量により課徴金額を決定する「裁量型課徴金制度」の導入を検討している。
現行の課徴金制度では、課徴金額は違反行為の類型や事業者の業種、規模などに応じて機械的に算出され、公正取引委員会への自主的な違反申告の順位に応じて一定の割合で減額が行われる制度となっているため、事業者にとって減額に関係ない調査に協力するメリットは小さかった。
新たな制度を裁量型とし、事業者に調査協力への「見返り」を与えることで、事業者と公正取引委員会が協力して事件処理を行う領域を拡大し、事業者による自主的なコンプライアンスの推進に資することが期待されている一方、手続の予見可能性や公平性が失われる、事業者側の防御権の確保が十分でない中で導入すると供述誘導につながる等の懸念から、慎重な意見も多い。
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