新型コロナウイルスの影響でテレワークが拡大し、「脱ハンコ」の動きが進んでいる。
総務省は、2020年4月20日の「組織が発行するデータの信頼性を確保する制度に関する検討会」において、2022年度から企業の角印(社印)の電子版に相当する「eシール」の運用開始を目指すと発表した。
現在日本では、個人の正当性を証明する「電子署名」は法制化されているが、組織の正当性を証明するものは、組織の代表者を使用者と想定している電子認証制度のみで、それ以外の従業員等が対外的に角印(社印)を使用する場面を代替できるものは法制化されていない。「eシール」が導入されれば、請求書や領収書など、代表者以外の従業員等によって組織が発行する電子文書に、角印(社印)に代わって利用でき、なりすまし防止や業務効率化などが期待される。
政府は、新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として、企業に対しオフィスへの出勤を7割減らすよう要請したが、押印のためだけに従業員を出社させる企業が多いことが問題になっていた。これらを受け、安倍首相は、2020年4月22日のIT総合戦略本部の会合と4月27日の経済財政諮問会議において、紙や押印を前提とした業務慣行の見直しを指示した。また、政府は、6月19日に「押印についてのQ&A」を公表し、契約書には必ずしも押印は必要ではないとする見解を示した。
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