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2003/10/01号

~アリの一穴をふさげ!~の巻

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最近、化学工場の爆発火災が連続して起こっていますね。8月19日には三重県でごみ固形燃料発電所の貯蔵サイロ爆発、続く29日には名古屋で油槽所のガソリンタンク爆発、9月3日には同じ名古屋の製鉄所で燃料用ガスタンク爆発、8日には黒磯市でタイヤ工場が全焼、そしてこないだの十勝沖地震では苫小牧の精油所で原油貯蔵タンク炎上…未然に防ぐには一体どうしたらいいんでしょう?

苫小牧の精油所火災は、人的被害はナシとあるけど、4年間で6度目なんだって…近所の人は、たまんないよねぇ。

化学工場の火災は、近隣世帯に避難勧告が出されたりして、その影響も甚大ですよね。

企業城下町の場合には、事後の地域経済にも打撃を残すしね…それと環境汚染も心配だなぁ。

何より、その事故を起こした企業自身にとっても深刻なクライシスになるわよね。

あっ、ゆき先輩。

直接的な損失だけでも、設備除却や解体、再建にかかる設備復旧費でしょ、復旧するまでの営業損失でしょ、総出荷量の減少でしょ…火災保険で多少は補填されるとしても、数百億円の損失が計上されるでしょうね。

ぐわ~~っっ!まさに危機的な額ですね。

だけど多くの場合は、通常行われるべき安全管理が適切に行われていれば防げたとも言われてるわね。

「通常行われるべき安全管理」…って言うと、具体的にはどのようなことになるんですか?

設備変更時の安全チェックポイントが不的確もしくは粗かったり、危険度に応じた点検箇所の重点化が図られていなかったり。作業手順の確認不足やバックアップ対策の不備、境界作業における異部門間の連携ミスなども事故の誘因になるわね。その他、教育訓練の不徹底や、指示・指揮・連絡調整・申し送りの不足なども、消極的な誘因と言えるでしょうね。

なるほど~。百戦錬磨のベテラン職員が経営の合理化でリストラされるのも、安全管理ノウハウの喪失と言えるかもしれませんね。

冴えているわねべっきぃ。だけど組織としては、客観的で継続的な安全管理を行うには、少数の担当者に依存しないようにしないと。安全ノウハウの継承や人材の養成を含め、安全管理は手順・推進・評価体制を明確化すること、つまりシステム化されることが肝要になるの。

なるほど~。だけど自社だけで蓄積できるノウハウや監査には限界がありそうだなぁ。

労働省では、『安全衛生情報センター』を平成12年に設立して、インターネットを通じた安全衛生情報の提供、危険の仮想体験による安全教育等の実施などで事業場の安全衛生活動を応援し、国民全般の安全に対する関心の向上を図っているわ。

さすがゆき先輩。よくご存知ですね~。さっそくアクセスしてみよっと。

それと化学工業の事故の特徴として、設備のシャットダウンやスタートアップ、定期修理工事、保全的作業、トラブル対処など、いわゆる非定常作業において起こるものが多いとの報告があるの。ガイドライン(※下記参照)もこれまでに3本出されているから、参考にするといいわ。

よ~し、じゃこれは『つきの対策マニュアル』に綴ることにしよっと。

記録だけじゃなくって、記憶もしてね(笑)

※ガイドライン
平成8年6月10日付基発第364号「化学設備の非定常作業における安全衛生対策のためのガイドラインの策定について」
平成9年3月24日付基発第190号「鉄鋼生産設備の非定常作業における安全衛生対策のためのガイドラインの策定について」
平成9年12月22日付基発第765号「自動化生産システムの非定常作業における安全対策のためのガイドラインの策定について」
これらはいずれも、「労務安全情報センター」よりリンクを貼らせていただいたものです。

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