智に働けば角が立つ。情に棹(さお)差せば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに、この世は住みにくい…。両立しがたいことは、明治の昔から存在しますね。「早さ」と「正確さ」、これは現代のアンチノミーかも知れません。
衆院選も終わったね~。 ちゃんと投票行った?
行きましたよー。週末はレジャーだったから、平日夜に不在者投票を済ませておきました。
ウウムおぬし、若輩者のクセしてなかなか感心じゃわい。だけど今回の選挙では、全国的に不在者投票の開票モレが続出したね。
そうなんですー、私んとこの選管でも発覚して。合コンをキャンセルして投票に行ったんですよ…私の票は開かれたと思いたい(泪)。
うわッ、そりゃー現代版”滅私奉公”だね。人生最初で最後のチャンスを逃したかも知れないってーのに、なおさらこんなイージーミスは許し難いよね。
(ムカッ)…ツッコミも小姑化して来てますよ、つき先輩。 黄信号はドチラかしら?(不敵に笑う)
こらこら、仲間割れはおよし。
あッ、人生順風なゆき先輩。
どこのケースも、選挙結果を一刻も早く知りたいという有権者のニーズに応えようと、開票を急ぐ余りのイージーミスだったようね。複数の眼で数えるなどの基本的な防衛策よりも、とにかく早さが優先されてしまって。
結果、合コンも断るマジメな有権者がモチベーションを削がれて、投票率の低下につながるんじゃゼロサムですなぁ…。
そう、それは企業活動についても言えることよ。注文したものがほぼ即日に届く、これは有難いわね。だけど注文書をたびたびケムリのように紛失してしまう会社には、そもそもセキュリティーが疑わしくて発注できないわね。
なるほど…早さと確実さ、ともに大切ですけど、両立も難しそうですね。
そうね、どこの企業でも人員削減に取り組んでいる昨今は、なおさら難しい課題ではあるわね。だけどお手本になるような取組みはいろんな分野に見られるわ。
たとえば?
医療ミスを撲滅し、サービスの向上を図るために、産業界の工夫であるISO9001を病院経営に導入したという報道もあったわね。食品業界ではHACCP(ハサップ)というシステムがあるの、聞いたことがあるかしら?
Hazard Analysis and Critical Control Points、「危害分析・重要管理システム」ですね。
さっすが~ボストン出。医療や食に「万が一」は許されませんものね。
HACCPは、まずHACCPチームの編成が第1ステップとして明記されているのよ。その後、作業フロー図の作成や、各段階で発生する可能性のある危害についての調査・解析がステップに含まれているの。そして製造工程のどの段階で、どのような対策を講ずれば安全性が確保できるかを、重要管理点(CCP)として定め、集中的かつ常時、モニタリングを行うことを定めているの。
それって別の業界でも応用できそうな、モレのないシステムですね。漫然と流していた業務をシステマティックに構造解明し、段階ごとに適切なチェックポイントを設ければ、今より小人数でより正確な業務を行うことはできるのかも…。
ぐひひ、ソレで合理化対象の名簿第1位に掲載されないよう、気を付けてくださいよ、つき先輩!
ぎゃふん!!
*ISOについては、(財)日本適合性認定協会(JAB)のHPに分かりやすい説明があります。
⇒http://www.jab.or.jp/index.html
*HACCPについては、(社)日本食品衛生協会のHPで次のような説明をしています。
⇒http://www.n-sokuei.jp/food_safety_information_shokuei2/food_hygienic/haccp/index.html
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