つい先日、産業界を揺るがす大事件が起こりましたね。発明の対価が200億円!1億くらい分けてくれ~!!
ちょっと、べっきぃ見て見て~。昨日徹夜で作った画期的発明品!
げっ!何ですかこれ?
名づけて「筋肉質自動判別機」!このバーベルの部分を持ちあげられれば、べっきぃ人形が旗をあげてくれるすぐれものなの。商品化の企画提案して、うちの会社から出そうかな~。
(小声で)課長決裁さえ下りないですよ…。発明と言えば、青色発光ダイオード発明者の中村修二教授が起こした特許訴訟。「相当の対価」として604億円と認定され話題になりましたよね?
そうそう。でも、「相当の対価」ってどういうことなんだろう?だってさ、会社の研究施設使って、業務時間内に発明して、それでお給料もらってるのに何でまたお金もらえるわけ?
ふふふ、それはね…。
あ、ゆき先輩!
サラリーマンが業務上発明した場合の権利は、会社がすべて所有するものだと思っている人も多いと思うけど、特許を出願できる権利を持つのは、発明者である「個人」なのよ。会社は、発明者からその権利を譲り受けて、はじめて特許の出願ができるのよ。
譲り受けるってところがミソなんですね。
そう。そのためには、会社は就業規則や社内発明規定の中で、特許を出願する権利やもしくは特許権そのものを譲り受けるように契約しておくことが必要なの。その代わり、発明した従業員に「相当の対価」、つまり特別報酬を支払う義務を負うのよ。
でも、「相当の対価」の額なんてどうやって算定するんですか?
特許法では「その発明により使用者等が受けるべき利益の額及びその発明がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定めなければならない」(35条)となっているけど、実務上算定は難しい問題ね。今までは対価を数千円から10万円以下の金額で済ましていた会社も多かったみたいで、今回のような訴訟が増えているわ。
でも、発明ってチームでやる場合も多いし、誰が「発明者」なのかはあいまいですよね。研究やってる友達も、チームで発明したのに、チームリーダーがあたかも自分一人で発明したかのように、特許を取ろうとしているとか。
それは問題ね。特許を出願する権利を持つのは、1人とは限らないわ。そういう悲劇を起こさないためにも、研究日誌や開発レポートとして、いつ・誰が・どんなアイディアを出したのか、作業を進めたのか、問題を解決したのか、細かに記録を付けていくことが必要よ。そうすれば、共同出願を認めるよう裁判を起こすこともできるわ。共同出願の場合、権利の持ち分は平等なんだけど、当事者同士で何割ずつと配分を決めることは可能よ。
ふーん発明か…それならあたしだって、この前社内コンプライアンス用のプログラムを作ったし、もしかして「相当の対価」をもらえるってことですか?!
(さて、べっきぃは「相当の対価」をもらえるのでしょうか?次回に続く…)
<< 一覧へ戻る