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2004/05/27号

~「一『網』打尽」!ネット上の著作権~の巻

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インターネットが普及して、著作権の考え方も、問題も複雑になってきました。著作権はあなたの周りにごろごろ転がっているがゆえに、法律違反をしやすい分野。コンプライアンスを語るときに、避けては通れませ~ん!

最近、ウィ二―の開発者が逮捕されたよね。あれ、どう思う?

Winnie the Pooh?ディズニーのことですか?

あんた、それはくまのプーさんでしょ。Winnyっていうのは、ネット上で利用できるファイル交換ソフト。ウィニー利用者同士であれば、お互いのパソコンに入っているファイルを自由に検索して、欲しいファイルをダウンロードしあうことができるソフト。商用の音楽CDや映画も匿名で自由にやりとりできることから、著作権法違反を「幇助」したとして、その開発者が逮捕されたんだって。

著作権侵害を行ったソフト利用者だけでなく、それを「幇助(ほうじょ)」した開発者まで逮捕されるんですか~?

それが論点になっているところなの。

あ、ゆき先輩!

海外でも違法コピーを誘発するソフトが問題になってるけど、利用者の責任だけでなく開発者の責任まで問われるケースは珍しいのよ。

む~インターネットがからむと著作権問題はどんどん複雑になっている気がする~。

そうね、一度整理する必要がありそうね。まず、べっきぃ。著作権を簡単に説明してみて。

はい。著作権というのは、思想や感情を創作的に表現した「著作物」を作成することによって得られる権利。ですよねぇ~、つき先輩?

(げ、わたしに振る?)え~、ハイ。大きく分けると「著作者人格権」と「著作財産権」に分けられるんだよね、べっきぃ?

ぎゃ~!!!!

はいはい、喧嘩はおやめ。まず「著作者人格権」というのは、自分の著作物を公表するかしないかを決定する権利(公表権)、著作者の氏名の表示(又は不表示)を求める権利(氏名表示権)、著作物及びその題号の同一性を維持する権利(同一性保持権)からなるの。「著作財産権」は、複製権、上演権、公衆送信権注1、展示権、頒布権、貸与権等を指すわ。

そういえば、ホームページを作っているデザイナーがいるんですけど、ある会社のホームページをたまたま見ていたら、自分の作った画像がそのまま使われていたそうなんです。

げ、ひど~い!!

それは、コンプライアンスの意識が全く欠けている違法な行為ね。つき、どうして違法なのか、説明してみて。

え~と。まず、違反した相手がホームページを作るときに、べっきぃの友達が作った画像を複製しているので、「複製権」の侵害ですよね。

大正解!あとは、インターネット上の重要な著作権として、「公衆送信権」というのがあるの。「公衆送信権」とは、簡単にいえばホームページに公開するために、サーバ等に著作物を置いて閲覧できるようにする権利。あとは、べっきぃの友達が作った画像に名前が入っているにもかかわらず、複製された方には入ってないとなると、「氏名表示権」が侵害されているし、さらに元の画像に手を加えたりしていれば、「同一性保持権」の侵害と言えるの。

ひえ~。著作権って、一言で言ってもいろいろあるんですね~。

ちなみに、著作者が死んでしまっても、死後50年間は著作権が存続するんだよね。

ちょっと~まだ死んでないですっ!!

(完全無視して)べっきぃの友達は「著作権者」として、画像をホームページからはずしてくれ、と要求できるわ。その上で、損害賠償を請求するかしないかという話になるわね。

日本人は特に、「目に見えるもの」に対してはお金を払っても、「目に見えないもの」に対しては、ルーズになりがちですよね~。情報や画像、音楽などインターネット上の著作物は「タダじゃないんだ」、という認識を高めていかなくては!!

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