第一法規株式会社|教育研修一覧

2004/08/16号

~WARNING!~の巻

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コンプライアンスを語る上で、製造物責任法(PL法)は欠かせないトピック。ある一定の業種を除けば、「製造」という行為は何かしらの形で関わっているのではないでしょうか?仕事上「製造」に関わっていなくても消費者として知っておいて損はありません!

ちょっと聞いてくださいよ~!(泣)昨日の昼に隣のお弁当屋さんで、ジャンボとんかつ弁当を買ったんですけど…。

あの筋野くんでも食べきれないって弱音吐いてた、噂の超特大弁当買ったの?!

はい、もちろん残さず食べました!!…って、そんなことはどうでもいいんですけど、とんかつソースの袋がなかなか開かなくて力任せに引っぱったら、中身が飛び散って、買ったばかりのスーツに思いっきりかかっちゃったんですよ~!!給料日前なのに、クリーニング代が飛んでいきました…。

あはは!意外に不器用なところもあるのね~(笑)

でも、別の人に同じ話をしたら、なんとその人も同じとんかつソースで、同じような被害にあっていたみたいで…。

それは、べっきぃが単純に不器用だという問題ではないかもしれないわね。

あ、ゆき先輩!

そういう小さなことでもPL法にもとづいて、製造側の責任を問う形で解決できる可能性もあるわ。

PL法…この前勉強したからばっちり覚えてます!欠陥製品によって損害を受けたものは、当該製品の製造業者に対しその損害の賠償を請求することができる、ってやつですよね。確か、「欠陥」といってもいろいろ種類があって、そもそも製品の設計や構造自体に安全性を欠いている場合である「設計上の欠陥」、製品の製造上の過程でミスを生じ、安全性を欠く製品が製造さえてしまった場合の「製造上の欠陥」、製品に特有な危険に対する警告や、誤使用による事故を防止するための指示が十分でなかった場合の「警告・指示上の欠陥」に分類されるんでしたよね!

よくできました!

そういえば、よく洗剤に書いてある「混ぜるな危険」とかっていう表示も、PL法に関係してるんですか?

この分類でいうと、「警告・指示上の欠陥」を防ぐための表示ですよね?

そうね。これは「警告表示」というんだけど、その製品を正しい方法で使っても起こりうる危険があれば、それを予見して警告すると同時に、通常考えられる誤使用も予想して、そういった誤使用がないように警告する義務があるの。

よく、ドクロとかびっくりマークとか、いろんな絵や図が使われていますよね?

消費者が一目見てわかるように、警告表示の規格を作り、統一化を図る動きがさまざまなところで行われているわ。あとは、よく使われているシグナルワードというのがあって、
「危険」―使用者が死亡または重傷を負うことになる切迫した危険状態(赤の背景に白い文字)
「警告」―使用者が死亡または重傷を負う可能性がある危険状態(オレンジの背景に黒い文字)
「注意」―使用者が軽傷または中程度の障害を負うか、または物的損害のみが発生する危険状態(黄色の背景に黒い文字)を示しているの。

その製造物を使うのが誰か、ということをよく考える必要もありますよね~?例えば、字が読めない子供向けのおもちゃには絵や図形を使ったり、お年寄りが使う製品には大きな字で書くとか。

その通りね。そういった警告表示や取扱説明書がなかったり、不備があったりして事故が起きれば、製造企業がPL法による責任を負うことになるんだけど、実際の裁判では、「設計上の欠陥」や「製造上の欠陥」よりも、「警告上の欠陥」の方が主張・立証しやすいので、被害者がこれを主張する可能性は高いのよ。その意味でも、製品の警告表示は重要な役割を果たすわね。

なるほど~。

アメリカのあるハシゴメーカーが何度もPL訴訟を起こされたんだけど、その対策としてハシゴに貼る警告ラベルがなんと37枚にもなったらしいわ!しかも、このハシゴによる人身傷害事件数は、警告ラベルを貼る以前には年1700件だったのに、貼った後には年2500件に増加したとか…。

それでは製品安全対策としての役割は果たしてないじゃないですか~!

そうね。ただ責任逃れのために表示しておけばよいということではなく、まずは製造物の安全性を高めることが最優先の社会的責任であって、その上での安全対策、そしてPL訴訟対策であるべきね。

…で、今回のとんかつソース事件、どうするの?PL法にもとづいて訴えてみる?

でも、弁護士に相談するほどのことでもないしなぁ・・・(弱気)

そんなときに国民生活センターや全国の消費者センターを利用するという手もあるわ。欠陥商品による被害に対して裁判を起こすほどではない争いの場合、製造企業側との解決の場を与えているの。製造業としてコンプライアンスに取り組む場合はもちろん、一市民としても、覚えておく必要があるわね!

なるほど~。

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