ふざけてテレビCMのマネして痛い目にあったことありませんか?「よいこはまねしてはいけません」ってテロップが入っていると、余計やりたくなるのは私だけでしょうか?
今度うちの部で出す新製品知ってる?その名も「超まっしろ君」!
(ひどいネーミング…)何ですか、それ…?
これで洗えばどんなガンコな汚れでも一瞬で白くなる超強力な洗濯洗剤なんだけどさ。テレビCMの企画立てようと思って。どんなのにしようかな~。
へ~久しぶりにCM出すんですか?!
そうそう、インパクトのあるCMがいいよね!いっそのこと俺が出演してこれでジャブジャブ顔でも洗って、自慢の日焼け顔も一瞬でまっしろに!…とかさ~。
そのCM、コンプライアンス推進室としてGOは出せないわよ!
あ、ゆき先輩!
これは、いわゆる「誇大広告」って問題かしら?
そうね。でもこういう場合、製造物責任法の観点からも問題と言えるわね。
PL法??…広告なのに??
PL法に関わる「警告・表示」は商品に直接つけられるラベル、使用説明書だけに関係する話ではないの。CMを含め、広告・宣伝、ポスター、パンフレット、店員の説明などに「誇大表示」、「不実表示」があったり、口頭説明に不備や保証違反がある時、それが商品の機能を説明したようなものであるかぎり、「指示、警告上の欠陥」にあたるのよ。
でも「超まっしろ君」は洗濯洗剤だって、誰だって商品見ればわかりますよ。俺みたいな黒い顔もまっしろになるってのは、「比喩」なわけで…。CMのマネして顔を洗った結果、肌がぼろぼろになったら、うちの会社が「製造物責任」を負うってことですか~??
(筋野くんを助けなきゃ!!)えっと、「超まっしろ君」のラベルに「この洗剤で顔を洗わないでください」ってちゃんと書いてあればいいんじゃないかしら?
そうね。ただ、CMっていう印象度の強い表示があるので、ラベルのみでは否定したものと評価されない、と言われてしまう可能性もあるわ。どちらにせよ、そういうCMは非常にリスキーね。難しい問題だけど。
誇大広告が欠陥だったら、おもしろいCM作れないな~。
誇大イコール即欠陥なのではなく、その誇大されたことでつくられた「信頼」によって、「危険―損害」が生じた場合、製品の欠陥と認定される、って考え方ね。せっかく開発した商品の本来の特性がいかに素晴らしくても、その広告の影響で危険な欠陥商品とみなされ、製造物責任を負わされたら意味がないわね。たとえ、その商品の特性をアピールするためであったとしても、製造物責任の観点からGOは出せないわ。
もし製造物責任を負うことになったら、すごい損失になりますよね。
そうよね~。もちろん会社のイメージダウンになって、損害賠償の請求を受ければ、莫大な費用負担、しかもリコールに発展すれば、その商品で得た利益なんて、すぐに赤字に転落…。
(がっかり…)じゃあ、おとなしく「超まっしろ君」で歯でも染めるCMにするか…。
絶句…。
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