第一法規株式会社|教育研修一覧

2004/12/13号

~企業重要情報を持った社員が転職!!~の巻

line

転職なんてあたりまえ!になったこのごろ。でも、企業の重要情報を持った社員の転職は、ちょっと怖い?その情報は、どうなるの?ってなわけで、最近転職の通称ウィリー君について、コンプラ推進室では噂話に花が咲き……。

ねぇ、ねぇ、べっきぃ!情報化推進部のウィリーが退職してたって、知ってた!?

当然知ってますよ。先輩、めずらしく社内情報がお耳に届いていないみたいですね。ふふふ。

なに、その「ふふふ」って。やーなかんじ……。

いえいえ、ま、社内情報に疎くなるってことは、年をとった証拠かなって。あはは。

む。

(何事もなかったかのように)でも、やばいんじゃないですかねー。だって、ウィリーは当社の情報という情報に精通していて、現在開発中の商品情報とか、もうなんでも頭の中に入っている人だったでしょ?大丈夫なんですかね。だって、転職先がなんとA社ですよ。

ライバル社じゃん!!!大丈夫かって?どういうことさ?

その情報を守れるかってことよね、べっきぃ?

そうですよねー。だって、機密情報ですよ。もしも漏洩したらどうなるんでしょ。

そうね。それに機密保持の規則、退職時に整備されてなかったみたいだし。

げげっ!じゃあ、対処のしようがないってことですか、ゆき先輩!?大変だー!新商品の情報なんて、漏洩は絶対まずいじゃないですかっ!会社、つぶれますよっ!

そんなに興奮しないでちょうだいね。冷静に。さて、機密保持の規則がなくても、もしもウィリーが転職先の企業に新商品の情報を話しても、その商品をつくることは、社会通念上許されないわ。念のため、不正行為を防ぐために、警告を発して、心理的な拘束を彼らに与えておくことが必要だわ。

規則なしでも手立てはあるということですか?

そうよ。規則がないからといって何もできないわけではないの。機密保持は、企業慣行として定着しているから。警告というのはね、その新商品の情報がA社で利用されないように、民法の信義則に従う機密保持義務があるってことを伝えるのよ。さらに、警告は内容証明郵便で送付することね。

そうすることで、心理的拘束を相手に与えられると。

そう。現在では、当社の規則は整備されたようだけど、人材がこれだけ流動化する世の中なのだから、リスク管理はしっかりしておかないと。就業規則や機密保持契約の不備がないかどうか確認しないとね。特に技術開発に関係する社員とは保護の対象を明確にする秘密保持契約を交わして退職後の一定期間は同業他社に就職しないとか、縛りをかけることも大切ね。不正競争法で保護されるためには「秘密として管理されている」ってことが重要ね。

「秘密として管理されている」って、どういうことですかね?

ひとつは、「情報の秘密保持のために必要な管理をしている」こと(アクセス制限)それから「それが客観的に認められる」こと(客観的認識可能性)

リスク管理か。しかし、せちがらい世の中だなー。いやだいやだ。

情報漏えいする社員にも、それなりの理由があると思うのよ。だから、規則だけの問題ではなく、それ以前に、人の管理というものについて、よく考えてみることが大切だと思うわ。

ですねー。

<< 一覧へ戻る

line