第一法規株式会社|教育研修一覧

2005/01/17号

~年俸制~の巻

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年俸制度もすっかり定着気味のこのごろですね。でもでも、年俸制の社員の時間外って、どんな扱いになるの?年俸なんだから、もしかして時間外という概念はないのかな。どうなの?

うちの営業ってさ、今月から年俸制になったんだよ。これでやっと世間並みか?なんかさ、かっこいいだろ?年俸制ってさ。

なーに言ってんのよ。わかってるの?自分の立場。成果ださなきゃ給料減るってことなんだからね。まったく、のんきに「かっこいい」とか言ってる場合じゃないだろーが。

つき先輩、そんなきついこと言わないでやってください。筋野先輩は、こう見えても意外にデリケートなんですから。

……おい。待て。成果ださなきゃ、給料減る……そうだよなっ!こんなところでしゃべってる場合じゃないぜ。あー、成果だすには、やっぱり残業だってやらざるをえないよなぁ。でもさ、年俸制だと、残業代なんかでないだろうし。きっついなー。

そんなことないわよ。

おっと、ゆき姉!

ゆき先輩、じゃあ残業代はでるってことですか?

そうね。そもそも、事業主側に「年俸者は年間で賃金を決めている」「ゆえに残業代はいくら残業しても支払う必要はない」という誤解が多いのよ。だいたい、年俸制の導入が地位の高い人を中心にはじまったから、時間外のことってあまり問題にならなかったけれど、役職者ではない人たちにも普及して、問題が発生してきているのよね。

おいおい、もっと具体的に時間外の支払いについて、説明してよぉ!死活問題なんだ!

なにを大げさな(ふん)

まあまあ、落ち着いて。ちょっと言葉が難しいけれど、これから挙げるものに該当しない人は、時間外手当支給対象と考えていいわ。労働基準法41条で定める管理監督者、機密の事務を取り扱う者、監視または断続労働に従事する者で労働基準監督署長の許可を受けた者。ただし、1日実働8時間1週40時間以内の労働とみなす場合ね。

ってことはだよ、俺はそのどれでもないから、時間外手当支給対象じゃん!!

そうね。年俸制の契約書や給与辞令書をしっかりチェックしないとだめよ。

どういう点が重要なんでしょう?

1.時間外手当の年間総額
2.その根拠となる月間時間数と年間時間数
3.実際の時間外が2で定める時間数を超えたときには別途支払うということ
4.賞与は、その金額が不確定であるということ
この4点は重要ね。たとえば、契約条件が「年俸は600万、給与は毎月30万、6月と12月に賞与を各120万、年俸には時間外を含む」なんていうものだったとするでしょう。で、時間外を年間200時間したとして、支払いを会社に請求したら、どうなる?

「時間外を含む」って書いてあるんだから、支払われないでしょ。

いいえ。労働基準監督署に申告したら支払命令が出るわ。なぜなら、年間の時間外労働時間数とそれに対応する時間外手当が明記されていないからよ。

なるほどー。

働いた分の対価はきちんともらってちょうだいね。そして成果もしっかりだして!

うう。がんばります。

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