第一法規株式会社|教育研修一覧

2005/03/08号

~テキスト・レジュメも著作物~の巻

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個人情報保護法が施行される前に、社員全員が呼ばれて合同研修…なんていう企業も多いのではないでしょうか?部内研修で使われるテキストの作成を頼まれた筋野君。さて、どうなることやら…。

ひょえ~どうしよう…。

おおっ!珍しく青い顔。どうしたんですか?

実はさ、販売促進部で「個人情報保護」についての研修をやるんだよ。
で、俺が資料作る係に任命されちゃったんだ。いつもコンプラ推進室に出入りしてるから、詳しいだろ!簡単なのでいいから明日までに作れって。

へぇ~。そりゃまた大変ね。

そういえば、ずいぶん前に行った「個人情報保護」についての社外研修、あれは、すごくわかりやすかったなぁ~。

(ピーン!)べっきぃ、その社外研修でもらったレジュメまだ持ってるだろ?1日だけ貸してくれよ。

むむむ…あやしい。青かった顔が黒く戻ってる…。

(バ…バレテル?!)いやぁ、セミナーのテキストは著作物じゃないだろ?タダで配布してるんだぜ。だから、コピーして配っちゃおうかなと思って。

き~ん~の~さ~ん!!(怒)

あう…。み…みち?!

今日はゆき先輩のかわりに私がお説教ですね。まったくもう!著作権法では、何が著作物かということに規程をおいているんですよ。それには「小説、脚本、論文、講演、その他の言語の著作物(言語著作物)」としていて、外部でもらったセミナーのテキストなんかは言語著作物にあたります。

小説とか論文みたいに1冊の著書じゃなくても、まとまりのある文章は著作物になるってことよね。

はい。講演会なんかで配布されるレジュメも言語著作物に当たるから注意が必要なんです。

著作物を複製する権利(複製権)は、著作者が独占的に持つんですよ!

でもって、複製とは「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」。だから、複写機でコピーすることは複製になるんですよ、筋野さん!

複製権はね、著作権の要といってもいいの。著作者は誰でもがコピーして販売したり、利用していることを認めたら、莫大な経済的損失を被ることになるものね。

筋野君がやろうとした行為は、複製権の侵害になっちゃうわ。処罰としては、損害賠償を受けることもあるし、刑事告訴の可能性だってあるんだから!

(おお。ここでゆき先輩の登場か…)著作者の許可を得るか、コピー部数分の対価を支払うなどしないと…ですよね。

ただし例外もあるわ。個人的にまたは家庭内のような限られた範囲で複製物を利用する場合は、私的使用だからOK。あとは、図書館なんかでは一定範囲で制限したり、学校や教育機関でも授業の課程における使用を目的とする場合は、必要と認められる限度において複製することができるの。ただし、ここでいう教育機関は営利目的に設置されているもの(企業内の資料室等)は除くわよ。

あ~。やっぱりイチから作成しなきゃだめか…。トホホ。

私が手伝ってあげますよ。

いいえ、私が手伝ってあげるわ!

どっちでもいいよ…。

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