第一法規株式会社|教育研修一覧

2005/05/24号

~会社と社員がお白州対決?~の巻

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労働組合、行政などに個人が寄せる労働相談は、年間約100万件以上。ところが、実際裁判所に持ち込まれるのは、3,000件程度。結局社員は、泣き寝入り??

この前、結婚を間近に控えた友達が急なリストラにあって…。

!!本人のショックは相当だったでしょうね。

そう。きちんとした説明もなく、通知されて1週間で解雇だって。

1週間~?!1ヶ月分の給料は支払われたんですか?

まさか。それどころか、残業代も未払いのままで、本人は「納得いかない!!」って憤慨してたよ。

それって訴訟になりそうな話ですね。

そうなんだけど、訴えてもどうせ長くかかるし、お金もかかるから泣き寝入りっていうのが現実なんだよね(泣)

泣くなあ!そして寝るなあ~!!

??!!ゆ、ゆ、ゆき先輩?

裁判まで起こさなくても、会社と社員の労働に関係するトラブルを解決する手段はいろいろあるのよっ!!

トラブル解決…私なら組合に相談するかな?

それもひとつね。でも、組合で解決できなかったり、組合が利用できない場面もあるから、「個別労働関係紛争解決促進法」を知っておくといいわ。具体的には
1)都道府県労働局や労働基準監督署での総合労働相談コーナーの開設
2)都道府県労働局長の助言、指導制度
3)紛争調整委員会によるあっせん制度
による解決支援サービスが定められているの。

あっせん制度?

都道府県労働局で、弁護士、大学教授などの学識経験者によって委員会が構成されるの。そこから指名されるあっせん委員が、会社と個人の間に入って、お互いの話を聞いて、話し合いの調整や、希望すれば具体的なあっせん案を出してくれるわ。

なるほど。費用が無料なら、積極的に利用できそうですね。

そうね。ただ、会社側が話し合いに応じなければそれまでで、話は打ち切りになってしまうのよ。東京労働局に2004年度上半期に寄せられた個別労働紛争相談は7,647件。あっせん制度の申請が395件あったんだけど、同時期の半数を超える212件が打ち切りになっているわ。

うーむ。となると、結局裁判しか手がないんでしょうか?

そこで、注目されているのが、最近の司法改革の一環で新しくスタートすることになった「労働審判制度」なの。

裁判とは違うんですか?

普通の民事訴訟に比べ、訴えやすくて速く決着がつくのが特徴。裁判だと、七、八回の審理で半年から一年かかるところを、原則として三回以内の審理で、長くかかっても3、4カ月くらいで終わるようになっているの。裁判官(労働審判官)一人と、労働者側、使用者側が推薦する一人ずつの労働審判員の合計三人の「労働審判委員会」で審理し、決定から二週間以内に双方の当事者が異議を申し立てなければ審判が確定する形なの。この決定に従わない場合は、強制執行をすることができるのが、あっせん制度との大きな違いね。会社と社員の関係がよりフェアになっていくのではないかと期待されているわ。会社側がよりコンプライアンスを意識して、誠意ある人事管理をしていくことが重要になるわね。

友達に今の話をレクチャーしてあげてください!

メルマガ、とってもらいなさいね(笑)

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