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2005/07/05号

~新会社法で何が変わるの?~の巻

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会社法成立!6月28日の参議院法務委員会で可決され、29日の本会議で可決・成立。また、関連する約300の法律もあわせて改廃されています。そもそも会社法って何?わたしたちの会社は、そして社会全体はどう変わっていくの??

株主総会もピークが終わって一段落ですね~。

最近の株主総会って、かなりエンタメらしいよ。お食事つきやら、おみやげつきやら。

株主優待制度とは違うんですか?

もちろん!ある外食企業では、食べ放題の懇親会付だったり、ゲーム会社ではゲーム機、キャラクター会社では人気キャラクターグッズがもらえたり、参加するだけでお得なんだよ!

楽しそう~。一転、不祥事が多発している企業の総会の場では、トップがひたすら頭を下げっぱなしみたいですけどね。

内部統制、コンプライアンス体制はどうなっているのか、ときつい質問を株主から浴びてあわてて対応を検討しているそう(苦笑)。

新会社法も成立したし、今後株主総会へも大きく影響するわね。

あ、ゆき先輩!

新聞やニュースでも新会社法成立が報道されてましたね~。

そもそも「会社法」って、商法の一分野で会社に関する部分でしたよね?

今回成立した新会社法は、合名会社、合資会社、株式会社について書かれた「商法」第二編、有限会社について書かれた「有限会社法」、株式会社の規模に応じた監査などの特例について書かれた「商法特例法(株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律)」などを、一つにまとめて、独立した法典したの。

商法って漢字とカタカナの文だから読みづらくない?

「会社トハ商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル…」とか、「アタクシ会社ニ行クデゴザル」といった感じですよね~。

…。というわけで、ひらがな口語体にして読みやすくするのね。あとは、用語の整理、社会経済の変化に対応した見直しが行われたのよ。

内容面ではどうなんですか?

まずは、利用者の視点に立った規律にするということ。例えば、株式会社と有限会社を統合して、株式会社に一本化したり、株式会社は1000万円、有限会社は300万円となっている最低資本金制度をやめて、1円でも起業できるようになるわ。

俗にいう「1円起業」ってやつですね。

そして、会社経営の機動性、柔軟性の向上。たとえば、合併など組織再編にかかわる規制を見直したり、株式・新株予約権・社債制度を改善したり。

ライブドアVSフジテレビで話題になった敵対的買収への対抗策として注目されたポイズンピルというのもそのひとつですか?

そうね。まず、あらかじめ既存の株主に新株を購入できる権利を割り当てておくの。敵対的な買収者が現れた場合、新株予約権を行使して株式に転換することで、買収者の議決権比率を下げることができるのね。

今でも新株予約権の発行ってできませんでしたっけ?

今は権利の行使は、個々の株主が判断するんだけど、新会社法では株主判断にかかわらず、転換されるという方策をとることができるのよ。

株主が忘れたり、めんどくさがったりして、買収されちゃう可能性もありますもんね。

他にも合同会社(日本版LLC)の創設が注目されているわ。出資者の有限責任は確保しながらも、株式会社よりも柔軟な事業運営ができるのよ。

日本では新しい会社類型ですよね。

あとは、株主代表訴訟制度の合理化をはじめとして、会社経営の健全性を確保することね。

そういえば、「会計参与」を新設するって聞きました。

そうそう。取締役などと協力し、会計関係の書類を作る役割で、税理士(税理士法人を含む)、公認会計士(監査法人を含む)がなれるの。中小会社の情報開示や健全性の確保が進むことが期待されているの。でも一方で株主代表訴訟の対象にもなるから責任が重くなるわね。

内部統制システムについても規定があるんでしたよね?

取締役会が設置された株式会社では、内部統制システム構築の基本方針が、取締役会の専決事項とされ、決議の概要は営業報告書の記載事項とされるの。また、大会社では、内部統制システムの構築の基本方針の決定が義務付けられるのよ。詳しい動向は、金融庁「企業会計審議会・内部統制部会」や、経済産業省「企業行動の開示・評価に関する研究会」をチェックすること!

了解しましたっ!

最近の経済環境の変化に対応するために、会社に関する様々な制度を見直して、分かりやすく法全体を再編成する、ということなのね。そのことで企業経営の機動力を高め、経済競争力をつけることが主眼。今後の細かな動向や、新しい会社法を企業がどう活用すればよいか、「新会社法A2Z」を参考にしてみてね。

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