営業の筋野は今期売上成績が思うように伸びなかったらしい。しかし、必死の営業活動で、ようやくつかんだ大口の話し!さてさて、筋野。今回はなにをたくらんでいるのか?
よっしゃっっ!よっしゃーっっ!これでなんとか首がつながったぜ。あー、しんどかったー。
どうしたんですか?先輩。大きな声ですねー、あいかわらず。
いやー、聞いてくれよ!もう、すっごいうれしくってさ。今期、俺、数字が足りてなくってさ。だけど、今日いい話がきたんだよ!ずっと通ってたお客さんから、結構大きな取引の話が!
わぁ!よかったですねー。でも筋野先輩、今期ももうすぐ終わりですよね?商談、まとまるんですか?ギリギリでは?
んー、話しがまとまるのは来月になりそうだね。でも、今期にあげたいんだよな。なにせ、売上が足りない……前倒しって、だめなのかなー?
だーめ。絶対にだーめ。
あ、またゆき先輩に怒られる!?
簡単に考えてはだめよ。もしも、まだ商談が成立していないのに前倒しで今期の売上にした場合、それは粉飾決算が行われたということになるのよ。
ふ、ふんしょく?
そう。粉飾決算というのは、売上の過大・架空計上ないし債務の過小計上なんかの手段で不正に利益を計上することをいうの。
な、なんかそういわれるとすっごい悪いことみたいだなー。
悪いんだってば!!!粉飾決算が行われると、会社は違法配当をすることになるでしょう。
会社が違法配当をしたら、どんなことが起こるんでしょう???
民事上の責任としては、株主の会社に対する返還債務、取締役の会社に対する責任と第三者に対する責任が生じるわ。それから、監査役の会社に対する責任と第三者に対する責任。刑事上は、監査役と取締役が5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられるおそれがあるしね。自分や株主の利益を図るためにやった違法配当だったら、特別背任罪で10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金よ。
ぎぇー、ひょえー。そ、そんな大事になっちゃうの。どどどどーしよ。
どーしょーじゃなくて、やってはだめなの。迷う余地はないの。粉飾決算は絶対にやってはだめよ!
は、はいっ。わかりました!!!
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