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2005/08/24号

~CSRのこれから~の巻

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日本で重要性が叫ばれてはじめてから、徐々に定着しつつあるCSR。一時的なブームで終わってしまうことへの警鐘が鳴らされていましたが、今CSRをめぐってどのような動向があるのでしょうか。

うーん・・・。

ゆき先輩、頭をかかえてどうしちゃったんですか?

やっぱりまだまだ日本は欧米に比べて、CSRの取り組みが遅れているってことなのよね・・・。

というと??

イギリスのエコノミスト誌が、日本企業のCSRについての調査を行ったんだけど、回答した日本企業51社の6割が、日本は欧米に比べ取り組みが遅れていると認識しているという結果が出たのよ。環境省が、企業の環境取り組みでCSR重視するっていう方向性を示したというのに・・・(苦笑)
環境省では、昨年9月から「社会的責任に関する研究会」が発足し、CSRの観点から企業の環境への取り組みのあり方について議論されていたんだけど、先日その報告書が出たの。CSRを「企業が各主体に及ぼす影響を把握し、これを考慮に入れて行動することであり、企業と影響を受ける各主体との間のコミュニケーションに重点をおかれる」と定義整理したのね。

各主体とは企業、NGO・NPO、政府、市民など、つまりステークホルダーですね。

そうね。報告書では、各主体の新しい関係性を構築していくために、特に「各主体の対等性」、「企業の取組みの自主性」、「関係情報の公開性」が重要であるとしているわ。また、先進的事例を踏まえて、取り組むべきポイントとして、
・大企業だけでなく、今後中小企業の取り組みを進めることが必要
・企業、NPO、消費者団体など各主体間の連携が重要である
・CSRに取り組む企業が評価される仕組みを構築していく
・日本がアジアでCSR推進の核となること
をあげているわ。
今後環境省では、企業、政府、市民、NPO/NGOといった各主体間のコミュニケーションの促進するために、
1)環境報告書を読む会やCSRをテーマにした企業・NPO間の意見交換会、交流会の開催など各主体間の情報交流の場を作る。
2)企業のCSRに基づく取り組みを掘り起こし、その顕彰・広報を図る。
3)企業の社会貢献事業データベースなど、企業の取組を利用しやすい形で発信。
4)SRIシンポジウムの開催など投資者への働きかけ
を行っていくとしたのよ。

企業の社会貢献事業データベース??

地球環境パートナーシッププラザが「企業の環境・社会貢献事業データベース」を整備・公開しているの。450社から提供されたCSR報告書・環境報告書から4200件にわたる企業の環境社会貢献事業を整理・分類して、市民やNPOが簡単に検索できるようになっているのよ。

なるほど。ちなみにISOで、CSRを国際規格化しようという動きがありますよね。

そう。ISOでは、「CSR」ではなく、社会的責任を負うのは企業だけではないという意見があり、組織一般の「社会的責任」で、「SR(social responsibility)」と呼ばれているの。大学では、USR(university social responsibility)などと言われているしね。今年3月に第1回総会が、ブラジルで開催されて、現在個別の委員会で検討が進められているの。9月に第2回総会が開催予定で注目されているわ。

規格化には是非もあるようですが、それによって少しでもSRの概念が広がれば、社会が、世界が大きく変わる―そんな気がします!!

CSR参考図書:『CSRの心 企業の社会的責任を考える』 笹本雄司郎著/座談会
(GRI日本フォーラム代表理事 後藤敏彦、SRIアナリスト 足達英一郎、社団法人日本経済団体連合会 中村典夫)

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