第一法規株式会社|教育研修一覧

2005/10/06号

~下請法まるわかり~の巻

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一人でできることには限りがあっても、他人の力をうまく借りることで 大きなことが実現できるようになる―。業務委託をする、下請業者に依頼 をするということは、ビジネスを発展させていくうえで、不可欠なことです。でも、なんとなくこれまでの慣習で無理を言ってしまったり、なあなあなお付き合いをしていませんか?下請業者とのお付き合いには、きちんとしたルールがあります。

来月発売予定のゲームソフト「パクパク王子の大冒険」が出来上がってきたぞー!

なかなか力作ですね!

そう。実はこの商品、他のソフト会社に頼んで作ったんだ。あの会社、規模は小さいんだけど、クオリティの高さが評判なんだよ。

あれ、この件って、先方に発注書を交付しましたっけ?

まだだよ。出来上がるまで発注の詳細内容や金額が決まらないから、発注書出せないんだよ。請求書がくれば払うから大丈夫だよ。

大丈夫じゃないわよ~!!

ぎくっ、ゆき先輩!!

下請法について、きちんと勉強する必要があるわね。べっきぃ、説明してもらえる?

おまかせくださいっ!下請法とは、「親事業者」=仕事を注文する側と「下請事業者」=仕事を請け負う側との、取引のルールです。

下請事業者とみなされる条件は、取引内容によって異なるんでしたっけ?

そう。少し複雑なので整理が必要ね。
●製造委託、修理委託、情報成果物作成委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫保管および情報処理に係るもの)
1)親事業者が、資本金3億円超
    ⇒下請事業者は、個人または資本金が3億円以下
2)親事業者が、資本金1000万円超3億円以下
    ⇒下請事業者は、個人または資本金1000万円以下
●情報成果物作成委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫保管および情報処理に係るものを除く)
1)親事業者が、資本金5000万円超
    ⇒下請事業者は、個人または資本金が5000万円以下
2)親事業者が、資本金1000万円超5000万円以下
    ⇒下請事業者は、個人または資本金1000万円以下
なのよ。まずは、自分の会社がどれに当てはまるのか確認してね。

製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託???

製造委託とは、物品や部品、その製造に使う金型の製造・製作ね。その中でも、
1)物品の販売を行う会社が、その物品の製造を社外に委託する
2)物品の製造を請け負っている会社が、その物品の製造をさらに委託する
3)物品の修理を行う会社が、修理に必要な部品などの製造を委託する
4)自家使用する物品を社内で製造している会社が、その物品の製造を委託する
場合をさすの。
修理委託とは、物品の修理を委託すること。2つの類型があるわ。
1)物品の修理を営む会社が、社外に修理を委託する
2)自家使用する物品の修理を自社で行っている会社が、社外に修理の一部を委託する
場合をさすわ。

昨年の改正で、情報成果物作成委託と役務提供委託が、取引内容に加わったんですよね。

情報成果物作成委託とは、コンピュータソフト、映画、放送番組、デザインなどの作成を委託することね。これは、
1)情報成果物の販売を営む会社が情報成果物の作成を社外に委託する
2)情報成果物の作成を請け負っている会社が、その作成をさらに委託する
3)自家使用する情報成果物を自社で作成している会社が、その作成を社外に委託する
役務提供委託とは、ビルメンテナンスや運送など各種サービスを提供する会社が、そのサービスの全部または一部を社外に委託することね。たとえば、運送業者が請け負った仕事を、一部の経路のみ別の業者に委託する場合などが当てはまるわ。

親事業者は、何を守らなくてはいけないんですか?

下請業者に責任がないのに、発注した仕事の納品を拒否したり、納品して60日以内に代金を支払わなかったり、または買い叩きを行ったり、または、下請業者に責任がないのにやり直しをさせたりすることは禁止されているんだよ。

筋野さんの発注した案件については、もし、その会社が下請法上の「下請事業者」にあたるとすれば、発注書の記載内容が固まってなくても、仕事を発注した時点ですぐに発注書を交付しなくてはならないわよ。記載できない項目があるなら、
1)その内容が定められない理由
2)内容が定められる予定期日を記載しておくの。
で、内容が決まった段階で、すぐにその内容を記載した補充書面を交付する必要があるのよ。

詳しくは、公正取引委員会のHPを参考にしてくださいね!

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