裁判って聞くと、かなり壁が高い感じがしますよね。でも、自分がもしもなにかの紛争に巻き込まれたら、そしてそれを解決しなければならないとしたら……もっと気が楽な解決方法ってないのかなー。え?あるの?
俺の友達が事故おこしちゃってさー。そいつの不注意だったんだけど、幸いにも相手の怪我はひどいことなく済んだんだ。でも、損害賠償の件がちょっともめてるみたいなんだよな。
あらら、大変ですね。事故はほんと、注意しなくちゃ。それはそうともめてしまったら、やっぱり裁判しかないんですかね。
いやー、裁判って、なんか怖いよなー。時間も金もかかりそうだし。できれば避けたい、ってのが人情だよな。
そうよねぇ。裁判を避けて、きちんと解決する手段があるわよ。
おおっ!ゆき先輩!ほんとですか?
ほんとうです。
それはどういう仕組みなんですか?そいつに教えてあげたいですよ。絶対知らないはずだから。
私も知りたいです!
これはね、「裁判外紛争解決手続」っていうの。ADRって呼ばれているわ。ADRというのは「Alternative Dispute Resolution」のことです。つまりね、仲裁や調停、あっせんなどの、裁判によらない紛争解決方法のことを指すの。裁判所での民事調停も、行政機関の行う仲裁等の手続きも、弁護士会が行うのも、全部これに含まれるの。
ADRかー。ようするに、訴訟しない、ってことか?
そう。訴訟手続きしないで民事上の紛争を解決しようとする人のためにあるのよね。
でも、ゆき先輩!その解決方法はいいと思うのですが、これを悪用する人って絶対いますよ!
「解決します」って言って、お金だけとっちゃうとか?
そうそう!
大丈夫よ。認証制度があるから。やっぱりそういう不安はあるわよね。裁判ではなく民間が解決を行う、っていうだけで、利用に不安が出るのは当然かもしれない。そこで、国による認証の仕組みをつくって国民が不安なく利用してもらうようになるのよ。この認証制度は、平成19年の5月31日までの政令で定める日に施行されるの。
認証、って、つまり紛争の解決手続きをするのにふさわしいかどうかってことを確認する、ってこと?
そうね。民間事業者が行う裁判外紛争解決手続の業務の適正さを確保するために一定の要件を決めて、それを国が確認する、ということね。
この制度、もっと一般に広く知られるといいですねー。なにせ解決までの時間が迅速になることは間違いないですよ。
そうよね。柔軟な対応ができるという点でもいいと思うし、とにかく解決する手段の選択肢が増えるっていうことは、いいことだから。
こういう知識って、大事だよね!きょうは、いいこと聞いたなー。早速、あいつに知らせてやろうっと!
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