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2006/04/05号

~個人情報保護法満1歳~の巻

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個人情報保護法が施行になって早1年が過ぎました。この1年間、企業だけでなく、学校、医療機関など、どこも四苦八苦で対応してきたというのが本音ではないでしょうか。早くも運用見直し、法改正の必要性も叫ばれています。今後どうなることやら…?

ががががががーーーー。

あ~もう筋野さん、静かにしてくださいっ!?

悪い悪い、シュレッダーがこわれちゃって。この前整理した顧客リストを廃棄してるんだよ。

昔は何でもかんでもゴミ箱にどさっ、が癖だった筋野さんが、今やシュッダーを使う時代になったとは、恐るべし個人情報保護法(笑)

でも、個人情報保護法っていまだにどう対応するべきか戸惑うことが多いんだよなあ。

過剰反応や不適切な運用が問題になっているケースも聞かれるわね。

あっ、ゆき先輩!

過剰反応といわれる例で言うと、JR福知山線の脱線事故での出来事が有名ね。

安否情報をすぐにでも知りたいという家族の要望に対して、個人情報保護法への対応が 優先されて、医療現場に混乱が生じたという話ですね。

そういえば、友達がある駅のエスカレーターに乗っていて、前にいた人が転倒してたまたま巻き添えになったんだ。で、友達はすぐに病院へ運ばれたから、事故の責任について相手と話ができなかったっていうことで、鉄道会社に相手の連絡先を教えてほしいって問い合わせたんだけど、鉄道会社は、「個人情報保護の観点から教えられない」って断ったらしい。

え?でも、例外の規定がありますよね。「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合」は、本人の同意がなくても個人情報を第三者に提供できるんじゃなかったでしたっけ?

そうね、ただ、そういった「例外」の状況を各企業が判断するのは、なかなか難しいことなのよね。法律違反のリスクを避けて個人情報は提供しない、という判断になってしまうのが実態なのよ。

そういった過剰反応もあるかと思えば、個人情報保護に対する認識が全くない企業・団体も一方では問題になっていますよね。私の祖母の住んでいる町内では、ある福祉団体が70歳以上の人の住所氏名などをまとめた名簿を作って、民生委員や町会議員に配っているんですが、誰が老人ホームに入っているかなどすぐわかってしまいますし、布団や健康グッズの訪問販売業者に漏れて、営業活動に使われているらしいんです。苦情を言ったら、毎年のことなので、今年もすでに印刷中だよ、なんて言われて。

まだ個人情報に対する認識が不十分ね。特に高齢者名簿が悪質な業者に漏れた場合、トラブルになりやすいので、取り扱いには最新の注意が必要なのに。

過剰反応にしても、不十分な認識にしても、この個人情報保護法が社会全体でまだ腑に落ちてない感じがしますね。法律違反がこわいから情報は一切提供しない、なんて機械的に対応したり、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する」というそもそもの目的を失っているような気がします。

3年後をめどに、施行状況について検討し、必要な措置を講じるとされているので、現在は、国民生活審議会の個人情報保護部会が、各業界団体などからヒアリングを行っていて、今年7月には報告をまとめるそうよ。法改正の動向など、気をつけてチェックしていきましょう。

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