第一法規株式会社|教育研修一覧

2006/04/17号

~派遣・パート社員の雇用とは…~の巻

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近年、どこの企業も派遣社員・パート社員の数が増加傾向にあるそうです。景気回復とともに新入社員の雇用も拡大化傾向ですが、依然派遣社員の需要も高いようです。団塊の世代大量定年退職も近いなか今後は一体…?

う~ん、頭痛い。

風邪ひいたんですか?体だけは丈夫だと思ってたのに…。

うるさいわ!いや~、昨日同じ部署の派遣社員の人と飲みすぎてさ~もう年かな。

(やっぱりそんな理由か)最近派遣社員の方増えてますもんね。

そうなんだよ。でも昨日飲んだ派遣社員の人は俺と同じ時間まで残ってから飲みに行ったんだけど、残業代とかついてんのかなぁ。

サービス残業は社会問題にもなりましたしね。

企業側もしっかりとした意識を持って取り組まなければならないわね。

あっ、ゆき先輩!

残業については、派遣先と派遣元の間で労働者派遣契約というのを締結してるんだけど、そのなかで取決めがあればそれにしたがい命じることができるのよ。

派遣社員はあくまで派遣先と派遣元の契約に基づいて勤務してるんですもんね。

そうよ。人材派遣の法的な仕組みとしては、
1.労働時間は派遣元企業と派遣労働者の間で締結される。
2.派遣元と派遣先で労働者派遣契約を締結する。
3.実際の労務の提供は派遣先企業の指揮・命令に服する。
となっているのよ。ただ、さっき言った派遣契約を締結するためには派遣元が労働基準法36条の協定、つまり三六協定ね、これを労働者の過半数で組織する労働組合等と締結してある場合に限られるのよ。この協定がなければそもそも派遣元が派遣社員に残業を要求する根拠がないってことになるから。

通常の労働契約とは違うんですよね。

そして三六協定の届けをした場合であっても、厚生労働大臣の定めた時間外労働の限度に関する基準に適合したものとなるようにしなければならないんですよね。この限度は男性、女性とも同一で、一般労働者の延長時間の限度基準は 「1週間:15時間 2週間:27時間 4週間:43時間 1か月:45時間 2か月:81時間 3か月:120時間 1年間:360時間」となっているんですよね。

そう。法定労働時間を超えて労働させることは、原則禁止されているんだけど、例外的措置として一定の手続きのもと時間外労働は適法になるように労働基準法36条に定められているの。

でもそういえば、確か前にアルバイトの男性が過労死したって事件もありましたよね。

雑誌編集に関する残業の判例だったわよね。(大阪地方裁判所平成14年(ワ)5483号)

さすが。ぽかーんとしている筋野さんのために説明すると、中古車情報誌にアルバイト勤務していた男性が、1日の労働時間が17時間を超えるような業務を行い、勤務後約50日後に亡くなったといういたましい事件があったんです。

17時間!?

アルバイト社員の場合、法定労働時間の範囲内労働については、使用者が労働者に対して申し出て個々の労働者が承諾をした場合には残業を行わせることが可能なんだけど、その判例については法定労働時間を大幅 に超えているし、企業側の意識の欠如と言わざるをえないわね。あと、派遣について付け加えると、1985年に制定された労働派遣事業法は、1999年の改正で、派遣の対象を一定の業務に限って認めるポジティブリスト方式から、原則として労働者派遣を認めるネガティブリスト方式に改められたの。また、2003年の改正では派遣期間の延長・期間制限の廃止などの規制緩和が行われるなど、時代の流れに即し た形に変化してきているわね。筋野君も飲んでばっかりじゃ駄目よ。みちも勉強してるからもしかするとそのうち…。

ギクッ!さ~て、業務に戻るか!

(逃げたな)

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