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2006/04/26号

~「60歳=定年退職」はもう古い?!~の巻

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いよいよ本格化する、定年を迎える団塊の世代の大量退職。いわゆる2007年問題ですが、徐々に話題になることも多くなってきましたよね。そんな折、定年退職に関わる重要な法律が施行されました。まだまだ「定年なんてずっと未来のこと」というあなたにも、働くヒントが隠されているかもしれませんよ。

週末は叔父の還暦祝いのパーティだったんですよ~。

おおっ、いいなあ。そしたら叔父さん、これからは退職して、悠々自適な生活ってやつだな。ひょ~っ。うらやましいなぁ♪

筋野さんっ!ま~たそんなこと言って。ゆき先輩に言いつけちゃいますよ。

聞いてたわよ。

げっ、ゆき先輩!

なによ、「げっ」はないでしょ。失礼しちゃうわ、まったく。それにしても筋野くん、「還暦60歳=定年退職して引退」っていう考え方はちょっと古いかもしれないわね。

古い!ゆき先輩にいわれるとなんかへこむなぁ~(涙)

確かに今まで、60歳定年制を採用していた企業はとても多いわ。でもこの4月からは、そうとも限らなくなってくるわね。65歳までの雇用延長措置をとることが、企業に対して義務付けられたからよ。

へえ~、そうだったんですか。でも何ですか、それ?

今から2年前、平成16年の6月に改正高年齢者雇用安定法が成立されたわ。すでに施行されているのだけれど、企業にとっても、従業員にとっても、影響の大きい一部分が、平成18年4月1日から施行になったのよ。

それがこの部分ですね、ゆき先輩。この4月1日から、定年(65歳未満のものに限る)の定めをしている事業者は、
(1)定年の引上げ
(2)継続雇用制度の導入
(3)定年の定めの廃止
のいずれかの措置をとることが規定されています。(高年齢者雇用確保措置)

高年齢者の安定した雇用を確保するための施策よ。これまで努力義務とされていた、65歳までの雇用確保措置が、今後は義務化されたのね。仮に平成18年4月1日以降、しばらくは60歳に達する労働者がいなくても、企業は高年齢者雇用制度の導入措置をとる必要があるのよ。60歳を過ぎても、現役として活躍する人がますます増えるでしょうね。

具体的にはどんな措置がとられるようになったんですか?

いい質問ね。現状では、2番目の継続雇用制度を導入した企業が多いようね。継続雇用制度には2つの方法があるの。ひとつは、「勤務延長制度」。これは、定年年齢は設定したまま、従業員を退職させることなく雇用を延長させる方法よ。もうひとつは「再雇用制度」。こちらは、いったん社員を定年として退職させたあと、再雇用を図る制度よ。

そういえば叔父も、今まで勤めていた会社で働き続けることになったって言っていました。

現在の傾向としては、中小企業に勤務延長制度の採用が多くて、比較的大企業は、再雇用制度を運用している企業が多いといわれているわ。当然、企業の規模や風土、これまでの慣習などによって、どの方法を採用するのがベストかは異なってくるわね。

なるほどなぁ。ということは、ますます働き方が多様化するっていうことだよな。

そのとおり。高年齢者雇用安定法の趣旨も、働きたい意欲があって、能力もある人が、年齢に関わりなく働ける社会にしていこうという点にあるの。でも、一方で、人生のある時点で退職し、働かなくてよいと考える人たちがいることも忘れちゃだめよ。

それぞれのライフプランに合わせた、柔軟な働き方が可能になっていくということでしょうか。それってなんだか、働くすべての人に共通のテーマですよね。

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