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2006/05/17号

~インターネットと著作権の基礎知識~の巻

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ホームページ、社内イントラ、ブログなどなど、仕事上でインターネットを使って、何かしらの情報発信している人は多いのではないでしょうか。インターネット上だと、普段気をつけているはずの著作権も、つい曖昧になりがち。知っておきたい基礎知識、さらっておきましょう!

更新完了っと。

何やっているんですか?

社内イントラの更新だよ。販売促進部として、営業部隊が活用できるように市場全体の情報や、最新トピックの新聞記事なんかを集めて、イントラ掲示板に掲載してるんだ。

へ~、写真も満載で、読みやすいですね。初めて見ました。

コピーアンドペーストばっかりだけどな、がはは。

!?…それって、もちろん許諾とってるんですよねえ??

取ってないけど…。社内イントラだから問題ないってば。

だーれーがそんなこと言ったのかしらー!!!

うげ、ゆき先輩っ!

確かに、ホームページに掲載されているコンテンツって、タダで配信されているものだし、簡単にコピーアンドペーストできるので、自由に利用できると思われがちですよね。

そうね。でも、ホームページ上の文字、画像、音声などは、れっきとした「著作物」にあたるので、著作者が「複製権」、「公衆送信権」を持っているの。よって、著作者以外の人が、複製したり、インターネットで配信したりすることは著作権侵害になってしまうわ。

著作権については、復習してくださいね~!

でも、確か少数の限られた範囲であれば複製は許されているんですよね?

私的利用、つまり家庭内や友人間などの限られた範囲であれば、著作者の許諾なしに複製することができるとされているの。でも、筋野くん、企業のイントラネットやLANなどは、いくら限られた社員が見るだけだからといっても、私的利用だということにはならないわね。

そうですよねえ~(がっくり)

だからといって、インターネット上のものがすべて著作物とも限らないんですよね。

そうなの。例えば、新聞社が無料でインターネットに載せているニュース記事の見出しは著作物でしょうか?はい、筋野くん。

ひえ~。いきなりふらないでください!・・・えっと、インターネット上の文字だから、著作物、かな。

答えはNO。著作物は、「思想又は感情を創作的に表したもの」と著作権法に定められているんだけど、ニュース記事の見出しは、「ありふれた表現」として創作性が認められず、著作権法上の著作物とはいえないという判例があるわ。

もうわけわかんない・・・。

ホント著作権問題って、なかなか難しいですね。そういえば、インターネットがらみでいえば、友人がある企業のホームページ担当なんですけど、市販ソフトに入っているクリップアートを載せたら、著作権侵害で忠告されたなんて話を聞きました。

うそっっ?!クリップアートって、よく市販のソフトに入ってて、文書やプレゼン資料に簡単に貼り付けられる画像のことだぞ?あれだけは自由に使っていいって自信があったんだけど・・・。

クリップアートは、ぺたぺた張り放題、著作権がないと思われがちなので注意が必要なのだけど、ソフトの一部として発売されているものは、そのソフト全体で編集著作物とされるので、そのソフトの使用可能範囲内でのみ使えるの。もちろんメーカーや製品によって違うのだけど、使用許諾の注意書きをよーく読んでみると、クリップアートの利用には制限がつけられているものも多く、ホームページでの利用は、使用許諾の範囲を超えている場合があるので、確認が必要ね。

あぶないあぶない。

そういえば前から疑問だったのですが、他のサイトにリンクを張るのは著作権侵害になるのですか?

いい質問ね。基本的にリンクを張ること自体、著作権侵害にはならないわ。ただし、商標登録されているマークやロゴを無断で使えば商標権の侵害になるし、商標登録していないものでも、勝手に他社の商品画像やマークを使えば、他人の営業と混同を生じるとして、不正競争行為とみなされる場合もあるわね。

ちなみに、リンク先のページは著作者表示のあるトップページにしておくほうがいいんですよね。著作者表示がないページにリンクを張ると、著者者の氏名表示権を侵害しているとみなされることもあるとか。

リンク禁止を明示しているサイトもあるので、その場合リンクを張らないのはもちろんのことね。また、リンクを張る上での制約がある場合もあるので、やはり事前に了解を得ることを基本としておくべきね。

インターネットは、相手の顔が見えない世界だからこそ、コミュニケーションを積極的にとっておきたいですね。

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