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2006/06/13号

~伝票の二重チェックと内部統制~の巻

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ビジネスに文書はつきもの。毎日たくさんの伝票や書類の起票や回付、確認業務に追われている方も多いのではないでしょうか。身近なところから、内部統制の基本をおさらい!

筋野さん、ぼく担当印押しておいたんで、つぎ二重チェックのご確認お願いいたしま~す。

お~、そこ置いとけ置いとけ。しっかし相変わらず多いよなあ。この支社からの受注伝票の束。

確かに、5cmはありますよね。二重チェックするだけで日が暮れますね。

たなやん、俺の印鑑渡しておくから代わりに押す(笑)?一緒に押しといてよ。

こらこら~っ!!そこのふたり!まったく、何のための二重チェックか わかっているのかしら?

あっ、ゆき先輩!

冗談、冗談ですってば!ゆき先輩。

冗談とはいえ、現場がこれじゃあチェック機能とはいえないわね。内部統制の大切な基本のひとつが、ある人の仕事を、他の人が別の視線で確認するってことよ。二重チェックの体制ってことね。

しかしせっかく体制はあっても、生きたシステムとして機能していなかったら、体制がないのと大差がなくなってしまいますよね。

うっ、そういわれると…。

そもそも、たなやんがチェックすべきポイントと、筋野くんが確認すべきポイント、どこが違うかは確認がとれているのかしら?全く同じでいいの?それとも少し視点が違うのかしら?

そういわれてみると、あんまりそのあたりを意識したことがなかったですね…。

もし、全く同じだとしたら、場合によっては、不要な二重チェックである可能性もでてきますよね?

そうね。いずれにせよ、確認したことになっているけど、実態は確認が充分でないとしたら、例えば、重大な不正行為が隠れていても、見過ごしちゃうかもしれないでしょ?

ま~たゆき先輩、不正だなんておおげさな!

不正の大半は、悪意のないもの。不正をしようと思ってしたわけではないものよ。そうではなく、業務上の慣れや昔からの慣例、ちょっとした怠慢といった原因が不正につながってしまうことがほとんどなの。それが許されてしまうのは、やっぱり環境によるところが大きいわ。

確かに、請求書の金額書き換え偽造のような、意図的に事実と異なる会計処理をはたらこうとするときなんかは、不正を行う人もそれが「不正」という認識があるものですよね。こういった悪意の存在する不正は、まあ数も少ないもんですしね。

そう。だからこそ、不正が起こらない環境が大切ってわけ。例えば、うちの会社でも、営業の担当者と請求書の発行担当者、そして帳簿記入の担当者は、それぞれ別の人になっているでしょう。

はい、そういえばわかれていましたよね。

こういった分担は、もちろん業務の効率をあげるためでもあるけれど、単に忙しいから分担してるだけじゃないの。伝票ひとつとったって、複数の目で、異なる立場の担当者が異なる視線で確認することで、どこかでミスがあっても確認できるし、不正も起こすことができなくなるわ。つまり、不正が起こらない環境にしているってわけね。

お互いにチェック機能を働かせるってことですね。

筋野さんたちの行っている二重チェックも、その環境を守るための大切な体制のひとつであるはずだし、そうでないなら不必要な業務かもしれないってことですよね。

そのとおり。だからね、筋野くん、自分がどの部分のチェック担当で、どこに注意して何を確認するべきか、ちゃんとたなやんにも教えてあげてね。なぜ分担なのか、どこを見るべきかを理解していなければ、真のチェック機能は働かなくなってしまうのよ。

だよなぁ。よし、もう一回確認してみるか~。もしかしたらこの仕事なくなるかもしれないし♪

なるほど~。勉強になります~。

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