昨今の社会情勢においては、TOEIC、TOEFLなど語学検定のスコアを昇格や給与の参考にしている企業も多くなっているようです。企業内で積極的に研修制度を取り入れてきているところが多くなってきていますが、その利用方法を誤ると…?
なあ、みち、語学研修っていったことあるか?
えっ?突然どうしたんですか?学生時代にならありますけど。
友達の会社では、語学学校へ通わせてもらって研修を受けられる制度があるんだって。うちにもそんな制度作ってくれないかな~。
筋野さん、そんな制度があっても利用するとは思えないんですが…。
そんな事ねーよ!そいつも言ってたけど、その制度を利用して勉強した後、商社や外資系企業への転職ってことも可能だし~。
へー、そんなことしてもいいんだ♪知らなかった~、ってこらっ!また筋野君は勝手な事ばっかり!でも今回のはなかなかに痛いところをついてきてるわね…。
ゆ、ゆき先輩が乗り突っ込み…。
まったく研修をなんと心得ているのかしら。筋野君はまず一般常識から勉強しなおした方がいいかもしれないわね。
や、やだなぁ、ゆき先輩。冗談に決まってるじゃないですか。
いい?まず、研修費用については、就業規則や誓約書において会社が立て替えて負担した場合に、研修後一定期間内に退職したときはこれを返還する旨を明確に合意されていたら合理的な額の費用の返還を求めることも可能と判断されることもあるのよ。
あれ?でも労働基準法第16条においては、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めてありますよね。
そうね。これはもともと退職時に違約金を課すなどして労働者を不当に拘束したり、退職の自由を不当に制約し、労働者へ弊害をもたらしたことから違約金等を禁止する趣旨で規定が設けられたのよ。 だから約定が労基法16条に違反するかしないかが重要であり問題となってくるわね。
その規定に違反しているかどうかの基準ってどうやって判断するんですか?
う~ん、そうね、本来従業員本人が負担すべき性質のもの、例えば特別な研修や留学など、会社が当然負担するべき性質のものでないことがまずあげられるわね。あとは会社が費用を立て替えて貸与するという関係になっており、しかもその額が合理的であることね。あとは一定期間経過後、それも比較的短期で、その返還は免除されるとなっているかね。これらが就業規則等に明確に合意されているか、そして費用の立替金の返還契約となっている事が基準となっているようよ。
会社が当然行うべき内容の研修と判断されれば、か。その辺の判断ってかなり注意が必要ですよね。
そうね。でも、業務命令として研修を実施した場合では話が全然変わってくるから注意が必要よ。この場合は約定が意味をなさない可能性もあるわね。会社としてもどういった目的でその研修を行うのか、はっきりさせる必要があるわね。
ただ研修を行うだけの時代は終わったんですよね(しみじみ)
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