世の中の期待にこたえる、レベルの高い内部統制を支えているのは、現場の皆さんの地道な努力。日々の業務に埋没しそうななかで、ときには今一度日常業務の背景となる大きな枠組みを確認してみるのもおススメです。
あ~今週はマジ忙しい。営業成績もやばいっていうのに監査かよ~。
ですね~。さきほどおっしゃってた発注書ファイルは、ご指示どおり内部監査部に提出しておきましたよ。ご安心ください!
おうっ、サンキュー。ああ、発注書の次は領収書か~。
でも、こうしていろいろ資料は提出してますけど、正直、社内の内部監査って、なんでこんなことしているのかって思うこともありません?売上に結びつくわけじゃないのに~。
あらっ、そんなこと言わないで。最も適切なチェックシステムで監査を行っていくことは、もはや企業にとって必要不可欠なんだから。休憩がてらおさらいしてみる??
あっ、ゆき先輩!
それにしても筋野くん、だいじょうぶ?かなりまいってる?
ゆき先輩!めずらしく優しいお言葉…。
なによ、めずらしくって。あたしはいつでもとっても優しいじゃないの。心配して損したわ。
ゆき先輩、まあまあ。ところで、監査が企業にとって必要不可欠とおっしゃいますと?
そうそう、監査よ。監査のシステムには様々な系統があるけれど、内部監査に限らず、監査の目的は経営活動を支援すること。
経営ですか。売上に結びつくわけじゃないだなんて失礼いたしました…。
へえ~。それってなんだか内部統制とつながってきませんか?
とってもいい指摘ね。まさにそのとおりよ。内部監査も、内部統制を有効に効かせるためのひとつの手段なのよ。内部統制がどうして重要かはもうだいじょうぶよね?
うっ…。そういわれると…。
あら、こころもとないわね。新会社法でも、大会社に対して「内部統制システムを構築すること」をしっかりと義務づけているご時勢だっていうのに…。COSOレポートっていうのは聞いたことある?
内部統制に関する事実上の世界基準とされているやつですね。
1992年、アメリカのトレッドウェイ委員会がリリースした報告書(Internal Control-Integrated Framework)のことですね。内部統制を(1)財務報告の信憑性(2)業務の有効性・効率性
(3)関連法規の遵守という3つの範疇に関する目的を達成させることと定義してます。
そう。そしてね、ここが肝心。それらは、会社の取締役会、経営者そしてその他従業員(other personnel)、要は組織のすべての人によって遂行されるプロセスだと位置づけているの。
筋野さんも関係ありますね。
おまえもだよ。
そもそも、この委員会自体が、不正な財務報告の原因となる要因を分析し、不正の発生を減少させる目的で発足したんでしたよね。
そうね。そう考えると、日本でこの6月に成立した金融商品取引法が、「財務報告の信頼性」っていう視点から、投資家保護を目的として内部統制について定めているのもうなずけるでしょ。
投資家ですか。う~ん、いまいちピンとこないなあ…。
従業員という立場からより身近なのは、会社法で規定されている内部統制かもしれないわね。金融商品取引法に比べて、より広く、業務全体に関する適性確保を規定しているわ。財務内容に関することに限らないってことよ。
対象も、金融商品取引法は上場会社のみだけれど、会社法が対象とするのは、ひろく会社全体となっていますよね。
そうね。金取法と会社法は、法ができあがってきた経緯が異なるんだけれど、どちらもベースにはCOSOのフレームワークが影響している点は指摘できるわね。
しかし、なんだか話がだいぶでかくなってきましたね…。
おれらのこういうひとつひとつの業務も、こういったひろ~い世の中の流れとつながってるってことよ。
でしょ。だから元気だしておっきなキモチで監査に協力してちょうだいな!!実際、監査によって業務効率があがって、営業成績が良くなったっていう事例も報告されているんだから。
ゆき先輩、そんなバシバシ背中たたかないでくださ~い(涙)
<< 一覧へ戻る