あってはならない交通事故。でも、クライアント先へ外出する、商品を配達する、仕事中に車を使っているときに事故を起こしてしまう可能性がゼロとはいえません。ましてや無断で休日に社用車を使っている人はいませんよね…。
大変だ、大変だ~!
そんなに慌ててどうしたんですか?
営業部の同期が、休日に無断で社用車を運転していて、歩行者にぶつかって怪我をさせてしまったんだって!
えええ~!普段は石橋を1tハンマーで叩いて渡るぐらい、慎重に慎重を重ねるあの方がですか??
そうなんだよ…。幸い命に別状はなかったからよかったものの、無断だったこともあって、部長が「賠償金を全額払え~!」って怒鳴りちらしてた…(泣)
ちょっとちょっと、そういう場合は冷静に対処する必要があるわね。
あ、ゆき先輩!
もちろん、事故を起こした本人の責任は重いのだけど、会社の責任も考える必要があるわ。
え?休日に無断使用した場合でも、ですか?
うーん。ちょっと難しいので、一から整理しておきましょう
まず、会社の業務で第三者に損害を与えてしまった場合でも、もちろん損害を与えた本人が賠償責任を負うのね。
給料日前の俺なんか飲み代さえもないってのに、損害賠償請求なんてされたらどうしよう…。
まずはそんなことが起こらないように気をつけて(笑)でも、逆のことを考えると、そんな筋野くんから損害を受けた被害者はたまらないわよね。
ハイ(苦笑)
それで、社員が業務に関連して第三者に損害を与えた場合、会社も「使用者」として責任を負うとされるの。
なるほど~、それは助かりました。
…。もうひとつ、自動車事故で人を死亡させたり、ケガをさせたりした場合に考えなくてはならないのが、「運行供用者責任」ね。
聞いたことのないコトバ…。
運行供用者っていうのは、「自己のために自動車を運行の用に供する者」つまり、自分の利益のために自動車を利用している者ということ。自賠法(自動車損害賠償保障法)で、運行供用者が、その事故に対する損害賠償責任を負うとされているの。
ということは…、たとえば会社の車で商品を配達している途中に交通事故を起こして、歩行者にけがをさせてしまった、という場合は、業務中だし、社用車での事故だから会社の賠償責任が問われるということですね。
でも、俺の同期は業務中ではなく、休日に無断で持ち出したんだよな…。
難しいケースね。会社が私用運転を公認していたということであれば、もちろん会社の運行供用者責任が認められるわ。ただ、最近の裁判例では、休日の無断使用であっても、会社の管理・監督体制に問題がある、短期の使用である場合、会社の運行供用者責任が問われるケースが多いようね。
え、そうなんですか?!
本人は自己責任と思ってやったことでも、思わぬところで会社に多大な迷惑をかける可能性があるってことなんですね…。
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