第一法規株式会社|教育研修一覧

2006/11/30号

~商標権のからくり~の巻

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この商品名、どこかで聞いた事がある、なんて思ったことありませんか?
近年、知的財産権絡みの訴訟件数は増加しており、大企業でさえも違反してしまうなど、ニュースなどで報道される機会が増えています。自分には関係ないと思わず今一度勉強してみてはいかがでしょう。

筋野さん、例の新商品、やっと完成までこぎつけましたね~。

ほんと長かったよな。あとは商品名を考えるだけだな…。よし、たなやん、その名称を考える仕事、お前やってみるか?

え~、ほんとですか?それならうちのライバル会社も似た商品を出しているじゃないですか。あの商品は広告もうまく使って爆発的にヒットしてますし、その商品の名前に似せて、販売するってのはどうです?

お、いいじゃん。なかなかうまいところをついてくるな。

ちょっとちょっと、本当にそんなことする気?

あ、ゆき先輩!

全く、このところ勉強していると思って目を離すとすぐこれだから、ほんとに筋野君達には気をつけないと駄目ね。

えーと、今回はどの辺に問題があるのでしょうか。

もう。まず、商標の意味から説明しないと駄目なようね。商標は、商品やサービスの出所を示す文字・図形・記号・立体的形状による標章のことで、トレードマークとかブランドと呼ばれる場合があるわね。そして登録のすんだ商標を独占的かつ排他的に利用できる権利を商標権というのよ。これは聞いたことある?

名前くらいなら…。

商標権は登録の際に指定した商品区分の範囲でのみ有効なんですよね。例えば「小枝」はチョコレート菓子の登録商標だけど、「小枝」っていうブランドの洋服を販売しても商標権の侵害にはならないんですよね。

そう。でも、他人の登録商標と同一または類似の商標を、それと同一または類似の商品区分において、自社の商品やサービスに使用すると商標権の侵害となって、権利者から使用の差止めや損害賠償を請求されるおそれがあるのよ。

5年以下の懲役、または500万円(法人は1億5,000万円)以下の罰金を科されるおそれがあるんですよね。

罰金まであるのかよ…。

そうよ。たなやんみたいに商品が同じ区分で、ネーミングも類似した形で出したりしたら、商標権を侵害したことになって今よっしーが説明してくれた処分を受けることになるかもしれないのよ。

もしかしたらまずいかな、とは思ってたんですけどね…。

それに、かりにその商品が商標登録されていなかったとしても、この商品は市場に広く周知されているから、ライバル社が似たような商品を販売することは、不正競争防止法に規定する「周知表示混同惹起行為」にあたる可能性があるのよ。まあ、ここでは他人の周知表示との「類似」をどのように判断するかが問題になるんだけど。

それに他人の著名なブランドに盗用(ただ乗り)して客集めに利用する行為も、仮に商品分野が異なって商品や営業の混同が生じないとしても不正競争防止法の「著名表示冒用行為」にあたり、排除されるおそれがあるから注意しなくちゃいけないわね。

ほんとに色々規制があるんですね。

じゃ、たなやん。もう一回考え直すか。

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