第一法規株式会社|教育研修一覧

2006/12/27号

~取引先の倒産情報~の巻

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日々様々なビジネスをしていれば、時に緊急事態も発生します。いざというとき、的確な対応をするためにも、正確な知識は必要不可欠です。

あわわわわわわ…。

どうしたの?そんなにあわてて。今日の「仕事納めの会」の準備が間に合わないとか??

仕事納めの会?その準備はばっちりですよ。買出しもちゃんと行ってきたし。ってそれどこじゃありませ~ん!

まあまあ落ち着いて。とりあえず電話の受話器おきなって。

おおっ、電話きるの忘れてた。って、みちせんぱ~い(涙)。どうしよう~。

ひょっとして緊急事態???

今、得意先のこんぷら興業からお電話だったんですけど「オタク『○×産業』さんとお取引ありましたよね?」って聞かれたんです。

それで「おそらく支店によってはお取引させてもらっているはずです」って答えてたのか。

そうなんです。そしたら「『○×産業』さんが倒産するかもしれないって情報が入ってきたんで、念のため御社のお耳にも入れておいたほうがよろしいかと思いまして」っていわれちゃったんです。きゃ~、はやくゆき先輩に報告しなきゃ~(焦)!!

はい、その報告いま受けたわ。

あっ、ゆき先輩!

『○×産業』さんの経営破綻の件は、すでにうちの経営陣も情報をつかんでいるわ。商売もひきあげているから問題なしよ。安心して。

そ、そうだったんですか~。よかったあ(涙)。

確かに、取引先の経営破綻情報なんて聞いたら、一瞬あせっちゃいますよね。

取引の相手方の倒産は、場合によっては自社に大きな影響を及ぼすものね。特に、債権(売掛金・手形など)を有している場合には、回収が非常に困難になってしまうわ。

確かに、売ったのに代金が回収できなかったりしたら、利益もでないし大変なことになりますよね。

なるほど。ところで、倒産って何を意味しているのか実はよくわからないんですけど…。

倒産という言葉は、法律用語ではないんだそうですね。

そうね。法律で定義されているわけではないけれど、一般的に倒産といえば、会社が支払不能や債務超過の状態になって、事業の継続が困難になった事態のことを意味するわね。

???

たとえば、6ヶ月以内に2回めの手形や小切手の不渡をだしたら、その会社はどこの銀行とも当座取引ができなくなるし、貸付も受けられなくなってしまうから(銀行取引停止処分)、事実上倒産しますよね。

資金繰り不可能ってことか…。

それ以外にも、会社が裁判所に申請することで倒産となるケースもあるわ。会社の倒産にも、いろいろな種類があるの。

倒産後の倒産処理の違いによっても、法的整理と任意整理に分類できますよね。

法的整理?任意整理??

法的整理というのは、裁判所が関与して、その監督のもとで、法律で規定された手続きにそって倒産処理をする方法。一方の任意整理は、債権者と債務者の協議によって、会社の倒産整理を進める方法(私的整理)のことですよね。

カンペキね。さらに、別の観点から、倒産処理には清算型整理と再建型整理があるってことも覚えておくといいわね。

清算型整理って、いわゆる破産とかですよね…?

そう。会社を解体して整理することが目的ね。破産や特別清算があるわ。一方、再建型整理というのは、会社の再建をめざすことが目的となるの。いわゆる民事再生や会社更生ね。

清算型か再建型かっていうのは、現実には厳密にはどちらの型かといいきれないことも多々あるって聞いたことがありますね。

ふうん、なんだか複雑だなあ…。

実務において重要なのは、特に、倒産してしまった取引先に担保を持っていた場合などに、どういう倒産処理をとるのかによって、担保権を行使できるかなどの点で様々な違いが生じる可能性があることかな。

いざというときのためにも、日々債権管理をちゃんと行うことが重要ですね。

そのとおり。それから、今後も取引先の信用不安情報を入手したら、真偽はともあれ、とにかくまず上司である私に報告してちょうだいね。

は~い。

あっ、もう仕事納めの会の時間だ~!!

みなさま、今年もありがとうございました。来年もコンプラQAをよろしくお願いいたします☆

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