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2007/02/27号

~輸出管理ってなに?~の巻

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日本以外のさまざまな国々と取引をしていくことは、ビジネスの発展にとって欠かせないことですね。
貿易にはたくさんのルールがありますが、今回は世界の平和と安全をまもる、輸出管理を再確認!

筋野さん、どうしたんですか?眉間にしわ寄せちゃって。

ほんとだ、筋野さんがめずらしく仕事してる…。

ふたりとも、ちょっとじゃましないでくれよ。えっと、今回当社が輸出するのは●×▲で…。ううん?仕向地???え~っと…。

ふふふ、我がコンプライアンス推進室が作成した「輸出管理チェックリスト」、現場でちゃんと使われているようね。

あっ、ゆき先輩!

輸出業務はさまざまな法律と深く関係があるのよ。なかでも輸出管理は、コンプライアンスの観点からもとても重要な分野のひとつといえるわね。

輸出に関しては、分野ごとにいろいろな関係法令で定めがありますよね。

そのなかでも、もっとも基本となる法律は、外国との貿易について定めた外為法ね。

ガイタメホウ?

正式名称は、「外国為替及び外国貿易法」ですね。1998年の改正のときには、大幅な規制緩和が行われて…。

その外為法の第25条と第48条で、国際的な平和と安全を守るための輸出管理に関して定めがあるわ。

外為法では自由貿易を保障する一方で、必要最小限の管理も必要だとされているんですよね。

なるほど~。確かに、日本から輸出したモノが、他の国で平和や安全を脅かすようなことがあってはならないですからねぇ。

例えば、事前に経済産業大臣の許可や承認を受けてからでないと、輸出してはならない貨物や技術もたくさんあるのよ。

へえ~。具体的にはどんな貨物や技術が対象になるんですか?

日本の輸出管理は、おおまかに次の2段階の規制があることを覚えておくといいわ。ひとつめが、「リスト規制」。もうひとつが、2002年4月から導入された、いわゆる「キャッチオール規制」よ。

リスト規制は、大量破壊兵器(核兵器や生物・化学兵器、ミサイルなど)を含む武器や兵器に関連する、特定の貨物や高度な技術に対する輸出規制でしたよね?

そのとおり。リスト規制に該当する貨物や技術を輸出する場合には、定められた一部の例外条件を満たしている場合を除いて、経済産業大臣の許可を取得する必要があるわね。

リスト規制は、品目ごとに詳細に仕様や規定が明示されているんですよね。

そしてリスト規制に合致しない、ほとんどすべての一般産業製品を輸出する場合にも、キャッチオール規制の対象となる可能性があるのよ。

えっ?ほとんどすべて???

食料品や木材などを除くほとんどの汎用品は、輸出する際に、大量破壊兵器の開発等に転用される可能性がないことを確認する必要があるの。

転用の恐れがある場合や、許可の申請が必要だと経済産業大臣から通知を受けた場合には、経済産業大臣の輸出許可が必要となってきますね。

わあ~。「こんなものまで!」と思うようなものも、大量破壊兵器の開発等に使われる可能性があるんですねえ。

キャッチオール規制はほとんどすべての貨物や技術が対象となるけれど、大量破壊兵器の開発等に転用される懸念がないことが明らかである場合には、許可は不要よ。

いわゆる「ホワイト国」と呼ばれている国々に向けて輸出する場合にも、キャッチオール規制の対象とはならないようですね。

例えば、アメリカやヨーロッパの国々などね。大量破壊兵器等に関する国際条約や、輸出管理に関する国際的な枠組みに参加している国々よ。

なんだかだいぶ複雑そう…。

そうなんだよ、難しいんだ、これが。実務担当者としては、具体的な規則やルールを定めている政省令や通達もとても重要だし、しかし数も多いし…。

あっ、筋野さん。眉間のしわがますます増えてる…。

輸出管理に関する法令上のルールや規制をきちんと理解し、実行していくために、現場の実務担当者のなかにも、頭を悩ませていらっしゃる方が多いようね。

とはいえ、万が一にも外為法違反となるようなことが生じてしまったら、輸出禁止の処分などが科される場合もあるし、経営上の致命傷となる可能性すらあるんだな、これが。

コンプライアンス違反による社会的な企業イメージの損失もはかりしれないですね。

そのとおり。輸出管理の重要性は、今後もますます高まってくるでしょうね。必要に応じて、社内の体制をきちんと整えたり、社内外の専門家に相談・確認をしたりすることがとても大切だといえるわね。

参考:経済産業省安全保障貿易管理HP

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