第一法規株式会社|教育研修一覧

2007/03/14号

~インサイダー取引のグレーな世界~の巻

line

近頃の好景気、またインターネットで株を売買できるようになったりして個人投資家が増えているようです。しかし、気軽に売り買いできるからと いって、勉強不足のまま株式投資に関わると、知らないうちにインサイダー取引をしていた、なんてことになりかねません。

たなや~ん、ここだけの話なんだけど、今度コンプラ商事が合併するらしいよ!!!

ここだけの話にしては、声、でかいっすね…。しかし、なんでそんなことを知っているんですか??

コンプラ商事に勤めてる友達からのオフレコ情報。まだ公表にもなってないらしいし、今のうちにコンプラ商事の株でも買っておかない?

いいですね~♪

なんかにおうと思ったら、ここだったのね。

あっ、ゆき先輩!

あちゃ~、たなやんと3時に食べようと思って隠しておいた桜餅、もう見つかっちゃいました??

そのにおいじゃなくて、「インサイダー取引」のにおいがするって言ってるんですけど…。

え、え?!俺?それとも、たなやん?それとも、俺&たなやん?

ふう…。インサイダー取引のおさらい、しましょうかね。

はい、確か…、インサイダー取引とは、「会社関係者」が、会社がまだ公開していない重要事実を「職務に関して」知った上で、株式など有価証券の売買を行うこと、ですよね。最近の法改正で、刑罰が厳しくなって、違反者は5年以下の懲役、500万円以下の罰金、またはその両方に処せられるんでしたね。

よく覚えているわ。ところで、「会社関係者」ってどの範囲をさすんだっけ?

はーい。役員、従業員はもちろん、契約社員、派遣社員、アルバイトも会社関係者です。その会社と契約を締結している提携相手、顧問弁護士、公認会計士、取引銀行等の関係者、関係のある公務員もあたります。

そうね。他に規制対象になるのは?

「会社関係者」から直接重要事実の伝達を受けた者、つまり第1次情報受領者も、会社関係者と同様にインサイダー取引の規制を受けるんでしたね。第1次情報受領者は、友人、家族、顧客、新聞記者など、「会社関係者」から重要事実を聞いた「すべての人」があたりますよね。

よーし、整理してみよう!まず、コンプラ商事の友達は、「会社関係者」で、俺が「第一次情報受領者」にあたるわけだな。

そう。つまり、筋野くんがこの状況でコンプラ商事の株を買ったら、処罰対象になるのは明らかね。

ひえ~!?そんなことなら早く言ってくださいよ~(恐)

だから言ってあげてるんじゃない…。

じゃあ、第一次情報受領者からさらに情報を得てしまった僕はどう考えたらいいんですか?

第一次情報受領者からさらに重要事実を聞いた「第二次情報受領者」の場合、「職務に関して知った場合を除いて」規制の対象にはならないとされているの。

職務に関するかが問題なのですね。えっと、筋野さんは会社の先輩だけど、実際は昼休みに雑談してたときに聞いただけだし、仕事の話題の中で出てきたわけじゃないしな…。

よーし、たなやん、セーフだっ!俺の分まで買っておいてくれー!

ちょっと待って。たなやんの場合、とってもグレーな状況といえるわ。実際本人は職務に関して知ったわけではないと思うかもしれないけど、勤務時間中に会社の先輩から情報を得たということであれば、対外的にみれば、インサイダー取引にくみしたと判断される可能性が高いと考えられるわ。一般の株主が知り得ない情報を利用した株式売買はインサイダー取引となる可能性が否定できないから、厳に慎む必要があるわね。もちろん、会社内部の重要な情報をむやみに漏らさないことも社員の義務として求められているわよ。

あ、ちなみに筋野さん、他人名義での売買であっても処罰の対象となりますし、売買の当事者にならなくても、取引をそそのかした人は教唆犯として、同様に処罰されるらしいですよ。

がーん。おとなしくこつこつ貯めるよ(泣)

<< 一覧へ戻る

line