第一法規株式会社|教育研修一覧

2007/03/28号

~意匠権とは?~の巻

line

日頃から使っている筆記用具、普段はあまり意識していないかもしれませんが、そこにあるデザインには意匠権がありますよね。当たり前のように目の前にあるからといって、安易に使うと痛い目にあうかも。

あれ、みちさん。どうしたんですか、そのマグカップ?デキる女の雰囲気が漂ってますよ。

ふふふ、いいでしょ?これはコンプ化粧品が創業50周年を記念して、期間限定の商品を買ったお客様限定でプレゼントしてたのよ。しかもこの立体感あるデザインはあの世界的に有名なKデザイナー!

えっ!あの人ですか?どうりでそれだけで気品溢れる感じがすると思ってたんですよね~。

・・・それだけでってとこがひっかかるんだけど。

よ~二人共!昼休みを満喫してるかい?って、あれ?みちの持ってるマグカップ、俺が子どもの頃愛用してた鉛筆のデザインにそっくりだな。立体的なところなんてまんまだし。

なっ!失礼な!そんな筋野さんが愛用していたような鉛筆と一緒にしないで下さい!

う~ん、私もそのデザインどっかで見たことがあるような気がしてるのよね。

あっ!ゆき先輩!

皆流してるけど、今のみちの発言が俺の心をえぐっているんだけど・・・。

(完全無視)えっ、ゆき先輩も見たことがあるんですか?ってことは本当に昔使われていたデザインの可能性があるってことですよね?

残念だけど、その可能性があるわね。まずはその鉛筆のデザインを調べてみないとはっきりしたことは言えないけど。

立体的なデザインってことは意匠権が絡んできてるんでしたっけ?

そうよ。特許庁への登録を経た意匠を独占的・排他的に使用する権利を意匠権と言って、意匠法に保護されているのよ。

保護期間は登録された日から15年でしたよね(注 平成19年4月1日以降に出願されたものについては20年)。

その通り。他の商品を意図的に真似たものでなくても、他の商品に類似したデザインの商品を販売すれば、この法律に違反しているおそれがあるわね。

その場合、意匠権の権利者は権利の侵害者に対して販売の差止めや損害賠償を請求でき、侵害者は10年以下の懲役または1,000万円(法人は3億)以下の罰金を科されるおそれがあるんですよね。

それに、他人の商品の形態を模倣した商品を製作して販売する行為は不正競争防止法の「商品形態模倣行為」にあたるのよ。これは、先行開発者がコストを投下した商品の模倣品(デッド・コピー)を製作して販売・展示・輸出入する行為等を規制するものなのよ。

そういえばその場合、先行開発者の商品の発売から3年を経過していれば、投下コストは回収されたとみなされて保護の対象にならないんですよね?

そうよ。だからまずはそのデザインが・・・。

あ~!今ネットで出てますよ!そのデザインが20年以上前に販売された鉛筆を参考に製作されたものだって!

え~、そんなぁ。なんかがっかりだなぁ。

でも20年以上前なのよね。だとしたらこの商品開発行為は、意匠法および不正競争防止法の規制の対象外となるわね。

なんかよかったのか悪かったのか、難しいお話ですね・・・。

<< 一覧へ戻る

line