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2007/04/10号

~デジタルデータの扱いは慎重に~の巻

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デジタルデータは、(自由にアクセスする事を認めた場合)大量コピー、持ち出し、改ざんといった行為が紙媒体に比べて容易です。よって、データ化に伴うリスクを把握し、そのリスクを軽減するためのデータ取り扱いルールやアクセス制御、システムによる安全性の確保といった、ルール及び技術による管理が必要です。

デジタルデータっていいよなあ。

何ですか、いきなり?

いや~、つい最近までアナログ人間だった俺がさあ。タッチタイピン グできるようになったんだ。それからは何から何までPC使うようになってね。ほら、テキパキ、キーを叩く俺の後ろ姿ってなかなかさまになってるだろう。

は、はあ…そうですねえ…、そういえばこの間いただいた「飲み会のお知らせ」の案内文も、いつもは手書きで出欠をとっている筋野さんが、なかなか凝っていましたよね。お店の写真を入れたり、デジタル地図帳から地図をダウンロードしたりと、非常に分かりやすい作りで したよ。

お、そうか…。嬉しいなあ。しかし、デジタルデータって楽だよな。修正が楽だし、一旦雛形作っといたらそれをもとにして、簡単に応用できるから。今月は歓迎会とか重なるから、この間使った「飲み会のお知らせ」も地図と店の写真変えるだけでパパッと5分くらいでできるしなあ~。本当に楽だよ。

そうですねえ、しかし、あの「飲み会のお知らせ」非常にデザインが綺麗にできていたし、文字の配置もバッチリで読みやすかったんですけど、本当に筋野さんがゼロからつくったんですか?何かあやしいなあ。(筋野さんにそんなセンスなかったような…。なんかみち先輩のデザインにも似ていたし。)

バレたか~。たなやん、最近勘がよくなったなあ。確かにタッチタイピングの能力は上がったけど、デザインの能力は簡単に向上しなくてなあ~。実は社内のネットワーク全部にファイル検索をかけたんだよ。「飲み会」というキーワードで検索したらいっぱい出てきたよ。その中から一番よかったみちさんのをパクったんだ。それでひらめいたんだけど、今後企画書とか作る時、社内中のネットワークに検索をかけて一番良いものをパク、るっていうの楽でいいじゃんなんて思ってね。

さっすが筋野さん、楽する事だけは天才ですね。うちの社内のネットワークって、どの部署でもアクセス可能だから、他部署の良いデータもパクれるし、楽して良いものができて、しかも仕事の効率も上がる、まさに一石三鳥。難しい企画書もサクッと作れて、何か僕たち、デキル男って感じで良いですね。

おう、お互いパクりまくって良い仕事しような。さて、仕事に戻るか…。

ちょっと待ちなさいー。

あ、ゆき先輩!!

あなたたち、コンプライアンス推進部に入り浸っているわりには。何バカなこと言ってるの!!

え、今回も何かヤバイ事してますか?

大量コピーや容易な修正ができるデジタルデータこそ、取り扱いに注意しなければならないわね。今回のように「飲み会のお知らせ」程度ならいいけど、重要な個人情報等をデジタルデータで扱う場合は特に注意が必要よ。さっきの二人の会話を聞いていると、ウチの社内って他の部のフォルダを誰でも覗けてしまうみたいね。セキュリティ的にも少し甘いと思うから、必要な情報には必要な人しかアクセスで きないようにアカウントで制限する必要もあるわね。

そうですね、今度コンプライアンス推進室からの改善案としてシステム部に提案しておきますね。そういえば皆さん「フォレンジック」という言葉を知っていますか?

聞いたことないなあ…。

「フォレンジック」とはもともと「犯罪科学の」という意味でそれとは別に「法廷の、裁判に関する」という意味もあります。そして「コンピュータ・フォレンジック」といって、近年、主としてコンピュータ上のデータ管理において事故が起きた場合に、裁判所に提出できるような証拠を残しておく、つまり証拠保全の視点を持つ事が重要であるとの指摘がなされていますね。セキュリティ対策を万全にしても個人情報漏えい事故は起きています。会社としてどれだけセキュリティ対策をとっていたか、誰がいつアクセスしたのか、不正に利用されたのかなど、社員等の違法行為を明確にし、会社としての管理責任は十分に果たしたと説明できれば、会社の責任が免責される余地がありますね。

そうね、データを安全に管理するための技術的なセキュリティ対策、ルールの整備、そして万が一事故が起きた場合の緊急対策、これらを構築していくことが、個人情報を管理している企業が情報化社会で生き残るための必須の条件ね。そこの2人!アブナイ事を口走るのはやめなさいね。 どんどんデキル男から遠ざかっていくわよ。

はーい気をつけます~。

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