読者のみなさまのなかにも、お勤め先が株式会社という方、きっとたくさんいらっしゃいますよね。株式会社って、法律上はどういう組織なんでしょう?あなたはきちんと説明することができますか???
ほ~い、社内文書の回覧だよ。
は~い、ありがとうございます。。
うちの会社に取締役がひとり増えることになったんだって。
ふ~ん。…よくわからないけど、我々にはあんまり関係なさそうな感じですね。
まあねぇ。取締役ってそんなに身近な存在というわけでもないしね。。
ってか取締役ってなにするひとなんですかね~?
あら、いい質問が聞こえちゃったわ☆
あっ、ゆき先輩!!
そこにいらっしゃると思ってましたよ。
まずふたりに聞きましょう。法律上、どんな株式会社にもかならず必要な機関ってなんだと思う?
どんな会社にもかならず必要…?えっと…、わたしたちみたいな従業員!
ブブーッ。残念だけど、それはハ・ズ・レ。
株式会社というからには、株式を発行しているんですよね。ってことは、株主(=会社の株式の所有者)が必要です!!
おっ、いいところに気がついたわね。実は会社法ではね、すべての株式会社は、「株主総会」と「取締役」を設置しなければならない と規定されているのよ(会社法326条1項)。
へえ~!法律にそんな規定があるんですね。
でも、株式会社の必須機関が株主総会と取締役だけって、ちょっと意外な感じがしますね。
もちろん、株式会社の規模や、株式の譲渡制限の有無等によって、株式会社にそのほかに設置すべき機関や、設置できる機関に様々な制限や規定があるんだけどね。
そういうことか。
2006年5月に施行された会社法によって、会社の機関設計は以前に比べてかなり自由になったわ。
ってことは、取締役会も必ずしも設置する必要があるわけではないってことですね。
そう。例えば取締役会。従来は、すべての取締役で構成される取締役会が、株式会社の必須機関だったわ。今では必ずしも設置する必要がなくなったの。
よくわからないけど、会社法でいろいろ変わったってのは聞いたことがあります~。
会社法施行にともなって、取締役の役割や権限もさまざまに異なるようになりましたよね。
取締役の役割?権限???
ふふ。基本から確認しましょう。会社法における委員会設置会社ではない、一般的な株式会社を前提に考えてみてね。
は~い。
会社の株式を所有しているのが株主よね。つまり、株主は会社にお金を出資していると考えられるわよね。
出資している株主が、取締役に会社の経営を任せているわけですね。
そういうこと。会社の株式を所有する株主と、会社を経営をする取締役(または取締役会等)が分かれているの。
会社を経営して、利益が上がると、株主は利益の分配を受けることができるわけですね。
え~っと、なんだか話についていけなくなってきたぞ。つまり取締役っていうのは…。
あくまでも原則だけれど。取締役は、株式会社にとって、会社の具体的な業務を執行する機関だと考えるといいわ(定款により、別段の定めがある場合を除く。また、取締役会設置会社の場合には、代表取締役と業務を執行する取締役として選定された取締役が業務を執行する)。
ふんふん、なるほど。
ということは、取締役と会社の関係って、私たち従業員が、会社と雇用関係を結んでいるのとはちょっと違うってことになりますよね?
いいところに気がついたじゃない。実は会社と取締役の関係は、委任の関係になるのよ(会社法330条)。
取締役は、会社において一般の従業員とは立場が異なるってわけですね。
そういうことね。取締役は会社に対して、権限や責任がとても大きいの。会社に対する様々な義務も課せられているわ。
例えばどんな義務があるんですか?
まずは、善良な管理者としての注意義務(善管注意義務:民法644条)や、業務を忠実に行う義務(忠実義務:会社法355条)などがあげられるわね。
そのほかにも、競業避止義務が課せられていたり、利益相反取引が制限されたりしているようですね(会社法356条・365条)。
取締役は会社の重要な秘密を知りうる立場にあるからよ。取締役が会社の利益に反して、自分や第三者の利益を図ることがないように、義務や制限が課されているってわけ。
なんだかトリシマリヤクっていろいろ大変なんですね。正直、単にカイシャのなかでエライ立場のひとの肩書ってだけなのかと思ってました(笑)。
う~ん、株式会社にとって必要な機関のひとつが取締役って考えたほうが適切かな。会社に取締役会がある場合には、取締役は取締役会を構成するメンバーってことになるわね。
ふ~ん。そういうものなのかあ。
でもね、多くの場合、取締役だけで会社を運営していくことはなかなか難しいでしょ。だ・か・ら、わたくしたち従業員がいるわけ。従業員は株式会社にとって不必要なわけじゃないのよ(笑)。
取締役はもちろん、さまざまな立場の従業員が、それぞれの責任の範囲内で業務を執行することで、株式会社が成り立っていると考えられますよね
そのとおり!うまいことまとめたわね。
みち先輩いいこといいいますねえ!!
と、いうことで。われわれもそれぞれの立場と責任の範囲でおシゴトおシゴト!!ふたりでこの資料まとめておいてねん☆
うげ~っ。またきた~!!ほ~い…。
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