第一法規株式会社|教育研修一覧

2007/09/26号

~えっ!これって下請いじめじゃないの?~の巻

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足尾さんがはじめて企画した商品「いつでもセレブ肌」。無添加の材料を使ったり、セレブの女性の方々の声を広く集めたりと色々工夫したのですがなかなか売れません。何とかして売りたいなあと思って悩んでいる足尾さんですが…。

ふう~。

どうしたの足尾くん?何を悩んでいるの?

実はね、僕がこの部に来て初めて作った商品がさあ~、なかなか売れなくて。どうしたものかなあ~。

あ、若い女性をターゲットにした化粧品、「いつでもセレブ肌」ね・・・素材も良い物を厳選しているのになんで売れないんでしょうね。

ネーミングがいまいちなのかなあ、どんなネーミングだろうと俺が営業にいれば足をナルトにして走り回って売り歩いちゃうんだけどなあ~。

あ、あのう・・・私、100個売れましたよ。

え、エーッもうそんなに売ったの?どんなルート使ったのか教えてくださいよ~大麦の姐さん。

たいしたことじゃないのよ。私、女の友達多いから一つずつ買ってもらったの。

そうかあ~持つべきものは良い友達かあ~。あ、そうだ!。友達といえば「いつでもセレブ肌」の製造に携わった業者さんがウチの会社と長年親しくしているからなあ~、付き合ってもらおっと。

足尾くんまさか会社の立場を利用して下請の業者の方々に強引に売りつけるんじゃないでしょうねえ~「いつも儲かりまっせ」なんて言って走り回ってるから怪しいなあ。

そんなあ~。僕は営業のころから「こちらコンプライアンス推進室」の読者ですよ。ヤバそうなことくらいは嗅覚が効きますよ。強引に「買ってくれ~」とは言わないさあ。いつも業者さんと会うブースに「いつでもセレブ肌」を各業者さんが何個買ってくれたかを表にして、貼っておこうかと思うんだあ~。「一番買ってくれた業者さんは表彰しま~す。」なんて書いておいてね。ね、一言も買ってくれ~なんて強制してないでしょ…。

「ウフフ」足尾くんって頭がまわるのね…。それならば確かに強制はしていないけど本当に大丈夫かしら?

うん大丈夫だと思うよ。「買ってくれ」とは一言も発しないからね。でも一言もいわないけど、いつもいろんな業者の方々とお話しするブースでしょ。商談ブースの目に付くところにデカデカとグラフが貼ってあると目につくよなあ~。「一番になると何か良いことあるかもしれませんよ」なんてプレッシャーかけたりして。善は急げだから、早速グラフ作りのうまいえり先輩に作ってもらおっと~。

足尾くん、それはマズイわよ~。

あれ、えり先輩、いつのまに~。

足尾くん、下請法では親事業者の禁止事項として、下請事業者に対して購入・利用強制の禁止という項目があるのを知ってる?

えっ、それ何ですか?

もーう全く~危なっかしいんだから・・・。

あれ、大麦姐さんまで(・・・)

下請法では、正当な理由がある場合を除いて親事業者が下請業者に対し自己の指定する物・役務を強制して購入・利用させることを禁止しているの。いわば親事業者という有利な立場を利用して下請事業者の利益を不当に害することを禁じているの。今回の「グラフを貼る」という行為は一見強制していないように見受けられるけど、「一番多く買ってくれた会社を表彰する」ということは事実上買わざるを得ないような強い圧力をかけていることなの。それよりも、そんな売り方をするということ自体があんまり好ましくないわよね。

下請事業者に対して購入・利用強制の禁止って他には具体的にどんなケースがあるんですか?

直接的に商品を購入させなくても、例えば自社の部品が組み込まれたパソコンを購入することを下請業者への発注の条件にしたり、実際に物品の購入強制だけでなく、自社製品のリース契約や保険契約の利用契約を求めたりすることなども下請事業者に対して購入・利用強制の禁止にあたるのよ。

ちなみに下請法で禁止する行為には以下のには購入・利用強制の禁止以外にも以下のような行為がありますね。
1. 受領拒否
2. 下請代金の支払い遅延
3. 下請代金の減額
4. 返品
5. 買いたたき
6. 報復措置
7. 有償支払原材料等の対価の早期決済
8. 割引困難な手形の交付
9. 不当な経済上の利益の提供要請
10. 不当な給付内容の変更及びやりなおし。
足尾さんも商品開発部に来て商品を作る機会が多くなるからよく勉強しておいてくださいね。あっ、あれ~???足尾さーんが居ない~。

俺自身が売りに行くって早速外に出て行っちゃったわ。あとで教えてもらった禁止事項、き
ちんとたたきこんでおきますね。

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