第一法規株式会社|教育研修一覧

2007/10/10号

~管理職の皆さん!メンヘルは減るもんじゃないですよ~の巻

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残業といえば往々にして「仕事が終わらない」「期限がある」「外出して戻ったら書類が山積(涙;)」「なんだかんだでまだ会社」…ということがありますが、残業を許すも許さぬも管理監督者の采配。しかし、社員に残業を命令する当の管理職はいくら残業をしても残業代がでないとか?!筋野さんとたなやんも、今日も残業を命令されて22時を過ぎたところ。疲れもピークに達し…。

筋野先輩、最近仕事が終わらなくてどうにもこうにも八方ふさがりなんですよ。

そうか?俺も最近てんやわんやで、でもなんだかんだやってるぞ。

この前の昼、外で食べたあと散歩してたら、同期のAが公園のベンチで一人うなだれてたんですよ。ここ半年くらい早朝から深夜残業が続いてたらしいし、僕も自分の体が心配です。

君たち、それは本当かい?A君、ちょっとほっとけないね。私から彼の部長に言ってみるよ。それはそうと、たなやんも、ちょっと休みをとったらどうかな。

そうは仰いますが、代わりにお願いできる人もいなくて…。皆さん忙しそうですから、なかなかお願いできません…。

君が倒れたら、君の培ったものも倒れてしまう可能性があるんだ。君のように「ちょっとキツイかな」「最近仕事がはかどらないな」といったことがメンタルヘルス不全のアラームかもしれないんだよ。そういうときはすぐに言ってほしいな。

ありがとうございます!そう言う熱男部長も、毎日僕たちより遅いですよね。噂によると、ここ3カ月休みなしって聞いてますけど。

管理職って、社員の面倒を見るのが仕事だから少々疲れてても仕方ないんじゃないか?ほら、ボーナスも桁が違うっていうじゃん。役職手当とかもらってるらしいし。疲れる代償にお金もらってんだからいいんじゃないか?

皆さん、ちょっと誤解があるようですね(スチャ…メガネをはずす)。

え、えりさん…ま、まぶひぃ(くずれ落ちる)。

(脇をささえながら)き、筋野先輩、しっかりしてくださいっ。

おお、死ぬかと思ったぞ。

(メガネをかけて)熱男部長の仰ることはもっともです。たなやん、心身ともに疲れてしまうことは、休んでも元通りに働けるかどうかわからないくらい疲れきってしまうこともあるのよ。

熱男部長、えり先輩、ありがとうございます。ところで、えり先輩。さっき「ちょっと誤解がある」と仰いましたが、どういうことですか?

それはね、管理職自身もメンタルヘルスを考えたほうがいい、ということなの。

確かにその昔、隣の部署の課長がメンタルヘルス不全だったよな。今思い出した…。

管理職とは、労働時間、休憩、休日に関する法律が適用されない管理監督者、『監督もしくは管理の地位にあるものまたは機密の事務を取り扱う者(労働基準法第41条)』にあたるので、時間外労働と休日労働の割増賃金の支払いはされないことになっているわ。ただし、深夜労働の割増賃金は支払われるのよ。ちなみに、管理職という名前ではなくても実態として管理・監督・マネージメントをする人は管理監督者に含まれることが一般的よ。

でも、管理職って、俺たち社員に残業命令を出したり、いろいろ権限があるだろ。仕事が多いし権限もあるんだから、働いても当然だと思うけどな。実際、熱男部長は俺よりモーレツに働いても大丈夫みたいだぞ。

でもね、筋野さん。万が一熱男部長が疲れきってしまったらどうかしら。今夜みたいに声をかけてくださる余裕はなくなるかもしれないのよ。

そうですね。管理職に訴えることができなくなったり、管理職が判断できなくなったら、管理職に命令されている僕らも混乱すると思います。

熱男部長。管理職も社員も、命や健康より重要な仕事はないと思います。
1. 自分や家族と仕事のバランスをはかること
2. 就業時間を決めて管理職が率先して退社して部下も退社しやすい環境をつくること
3. 疲れを感じたときにはお互いに言い合える状況をつくり休みやすい環境をつくること
4. 食生活や運動や心の健康を保つようにすること
以上のことなどを意識して、適度に休みをとってください。
といっても、時々ユーモアを交えて部下へ声をかけたり、本や美術館に行った感想なんかを交えてお話されているようですから、ちょっと安心してますけれど。慢心は禁物ですよ。

無休であることは、ワーク・ライフ・バランスの観点から見てもあまりいいとはいえませんね。熱男部長、僕もキリをつけてお休みをいただきますので、部長も時々は早くお帰りください。

なんか、コンプライアンス推進室の言うことより人事部みたいな言い方だなあ。

CSRやコンプライアンスを進めるうえで、経営者や管理職・マネージャーの意識が問われるうち、部下への配慮、自分の健康管理の重要性が見えてきたの。自分の体を犠牲にしては、部下への配慮はもちろん、自分の先行きが見えなくなる危険もある、とリスクを知ってほしい。CSRとコンプライアンス、労務部門が密接にかかわっていく労務管理のコンプライアンスはこれから注目されるテーマだと思うわ。

なんか、皆が健康だったら仕事も生活もうまくいくような気がしてきたよ!あ、これがディーセント・ワークってやつか?ね、えりさん!!

筋野さん、よくご存知ね。人間として尊厳を保てる生産的な仕事のことをディーセントワークというけど、今夜は遅いから、お話はまたね。

えりさんーー!俺、超暇なんすけどーー…(ピュー 追っかける)。

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