これは売れるに違いないっ!!そんな商品なら、自信をもってお客さんにアピールし、思いっきり売っていきたいですよね。でも、どんなに売りたい気持ちが強くても、お客さんにウソをついたり、お客さんをだましたりしちゃあいけませんっ。
あっ、みち先輩。今日のスカートかわいい~☆
そお? 昨日セールで買ったの。2万円が50%引きで1万円っ!
すごぉいっ!いいなあ。超オトクじゃないですかあ。
そうなの~。安くなってたからつい買っちゃった。
みち、実はだまされたんじゃないのかいっ?そのスカート、もともと 2万円じゃなくて1万円だったりして…。あっ、いいこと思いついた!!
筋野くんっ。まさか、うちの1万円の商品を、「2万円を1万円に割引中」とかウソついて、もっと売ってやろう、なぁんていうんじゃないわよねえ?
あっ、えりセンパイっ!!
割引してなくても割引中ってことにして価格表示しちゃえ~、なんて調子いいこと考えてたでしょ?
え、えりさんっ!なんでおれの考えてることわかるの?
えり先輩じゃなくてもわかりますってば。
そんなことしちゃだめです~!!お客さんの気をひきたいからって、ウソをついたりごまかしたりしちゃだめですよっ、筋野さんっ!
まあまあ、そんなカタイこというなって。どんなことしたって、それでお客さんがうちのスバラシイ商品に出会えるんだから、みんなハッピーじゃないか。ちがうかいっ?
筋野さんっ!事実と極端に異なる表示で、消費者をだましたり誤解させたりすることは、「公正な競争を阻害し、消費者に不利益を与える」ことになるため、法律できちんと禁止されているんです。
ちぇっ。ちょっとしたできゴコロだったのに。みんなして恐いなあ、もう。なあ、たなやん。
えっ、いきなりふらないでくださいよっ(汗)でも、法律で禁止されてるって、いったいどんな法律で禁止されてるんですか?
その質問、まってたのよ。「景品表示法」って聞いたことはないかしら?
正式名称は、「不当景品類及び不当表示防止法」っていうんですよ~。
名前だけなら聞いたことがなくもないような…。
実際に売る価格より高い架空の価格があるかのようにみせかけて、実売価格があたかも割安であるかのように消費者に誤解させる表示は、不当な二重価格表示として禁止されているのよ。
景品表示法4条2号、「有利誤認」にあたる可能性が高いんです。
虚偽、誇大な表示は、独占禁止法上の「不公正な取引方法」(2条9項・19条)のうち、不当顧客誘引行為に該当するものでもあるといえるわね。
景品表示法に独占禁止法…。
景品表示法ってのは、独占禁止法を補完して、より実質的で効果的な規制を行うための法律だって考えるといいわ。
独占禁止法も景品表示法も、自由で公正な競争を守り、ひいては消費者が不当に不利益を被ることがないようにしましょう、っていってるのデス。
う~ん。つまり…、さっきの、二重価格表示の場合、実際より「有利でオトクな買い物だ」ってお客さんに誤解させちゃうことが問題なわけですね?
そういうこと。他にも、「優良誤認」(景品表示法4条1号)といって、実際のものや他の競争者のものよりも、ずっと優良でスバラシイ商品やサービスだって、お客さんに誤認させる表示をすることも禁止されているわ。
誤解されるおそれのある表示(同4条3号)として公正取引委員会が特別に指定をしている不当表示もあるから、確認してみてくださいねっ。
表示かあ。ってことは、チラシやパンフレットのような広告をつくるときには特に注意が必要ってことになるよなぁ…。
冴えてるわね。広告だけじゃなく、商品のパッケージへの表示や、セールストークなんかも、景品表示法上の規制対象となっているから注意が必要ね。
故意ではなくても、ついつい商品のPRに熱がはいって暴走しちゃうかも…。
たしかに。ウチの商品がお客さんにとっていいと信じればこそ、誤解をうんじゃったりもするわけよ。
筋野さん、スゴイ商品への愛…。
お客様に商品をアピールしたい気持ちは、よくわかります。
だからこそ、消費者の信頼を勝ち取るってことがどういうことか、よく考えて行動することが大切ね。
まずは、お客さんが適正な判断ができないような状態は、お客さんにとってとても不利益な状態なんだって、いまいちど改めて認識してみるといいですよ。
それに、お客さんをだましたり、ごまかしたりする事業者が儲かっちゃったりしたら、そういうことをしないで、ちゃあ~んと商売をしている、マジメな事業者のお客さんが取られちゃうことにもなりかねませんっ!
独占禁止法や景品表示法の目的は、市場の公正で健全な自由競争を守ることなの。価格や品質でちゃんと勝負して、まっとうな競争をするってことが、いかに大切なことなのか、もういちど意識してみてちょうだいね。
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