社員が仕事と生活を調和させる(ワーク・ライフ・バランス)ことができ、子育てや介護等と両立するために有効であるという観点から、「在宅勤務」を導入しようという企業が増えています。ただ、社員の管理や評価について、これまでとは違うやり方をしなければならないという課題も指摘されています。どんなことが必要になるでしょうか?
大麦さんっ! みちっ! 聞きました? うちの会社、「在宅勤務」の導入を検討しているらしいですよ(ハアハア)。
え~そうなんだ~。そういえばこの前そんなアンケートに答えた記憶が・・・。
でも足尾さん、どうしてそんなにうれしそうなんですか?
だって、家で自分の好きな時間に働けるってことだよ! 上司も(大麦さんも)いないし、好き放題!
足尾くん・・・。在宅勤務って、そういうものじゃないと思うけど・・・(相変わらずなんだからっ!)
あらあら、足尾くん、また大麦さんに怒られてるの?
えり姉御! 「在宅勤務」について教えてくださ~い!
情報通信機器(パソコンやFAX等)を活用して、労働時間の全部または一部について自宅で業務に従事する勤務形態のことよ。会社によっては、テレビ会議システムを備えて、遠隔で会議に参加できるところもあるそうよ。
管理はどうなるんですか? 足尾さんがいってるような「好き放題」はダメですよね?
もちろん! 在宅勤務であっても、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償法等の労働基準関係法令が適用されるわ。会社は、在宅勤務者についても、労働時間の把握・算定義務(労働基準法108条)を負っているのよ。
勤務時間は自由に決められるんですか?
完全に自由にするのは、現行法上では困難ね。ただし、在宅勤務の場合、事業外労働に該当し、かつ、労働時間を算定しがたいため、労働基準法38条の2第1項の「みなし労働時間制」を採用することが可能な場合もあるわ。それに、専門性を有する業務を行っていることが多いから、労働基準法38条の3の「専門業務型裁量労働制」を採用することが可能な場合もあるのよ。
「みなし労働時間制」や「専門業務型裁量労働制」を採用できない場合は、どうなるんですか?
始業時間・就業時間・休憩時間などの就業時間を定め、電話等でその確認をするのが一般的ね。労働時間の自主申告制を採用して、在宅勤務者の労働時間を把握・算定する方法もあるわ。
職場で勤務するのと違って、勤務時間と日常生活時間帯とが混在せざるを得ないし、上司の管理や評価もこれまでとは変わってくる部分もあるから、会社と在宅勤務者との間で、きちんと取り決めをする必要がありますね。ねっ、足尾くんっ!
はい・・・、大麦さん、これからも僕を管理してくださいっ!
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