企業は会社法により定められた内部統制システムを構築しなければならない、なんて話を耳にする機会が多くなってきたかと思いますが、実際問題として、内部統制システムってなんでしょう?言葉だけ聞いて分かった気になってはいませんか?
なぁ、たなやん。『内部統制』って知ってるか?
何言ってるんですか、サラリーマンの常識ですよ。コンプライアンス違反を起こさないシステム構築、ってやつじゃないですか。
お、正しいように聞こえるが、それってほんとか?
…そう突っ込まれると、自信はあまりないんですけど。
じゃあ、説明してもらうか。(大声で)内部統制ってなんだっけ? 会社にとって重要な言葉だった気がするんだけどなぁ。
筋野さん、そんなことも知らずに過ごしてたんですか!?
う~ん、筋野さん恐るべし…。
まず、内部統制の基本的な枠組みからご説明します。
米国のトレッドウェイ委員会が公表したCOSOレポートが代表的ですが、その中で、
1.業務の有効性・効率性
2.財務報告の信頼性
3.法令遵守により社内体制を整備し、よりよい経営を目指す
といったことが内部統制の目的とされています。
あれ、内部統制システムって作ることを目指すんじゃないの?
違います! 勘違いしている方が多いと思いますが、経営の効率化を目指すために、構築するものなんですよ。
でも、それを構築していないと問題があるんですよね?
そろそろ出番ね。たなやんのいうとおり、構築義務を果たしていない取締役は「善管注意義務」というものに問われる可能性があるわ。善良なる管理者として、注意を払ったうえで職務を遂行する義務のことよ。
これは旧商法時代から言われていたことだけど、会社法となってからはさらに取締役の職務の執行に対する取締役会の監督義務(監視義務)についても定めているの。これは大和銀行株主代表訴訟事件が問題となったことから、重要性を叫ばれるようになってきているわね。
なるほど。取締役は大変ですね~。頑張って仕組みを作っていただくのを待ってればいいから、安心しましたよ。
筋野さん。内部統制は取締役だけでなく、全従業員が考えなければならない問題なのよ。仕組みだから自分には関係ない、ではなくて、全員が協力していきながら機能させていくという気持ちを持たないと成り立たないわ。
企業価値の向上を目指して、一人ひとりが意識していくべき問題なんですね。
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