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2008/05/13号

~内部通報制度~の巻

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内部告発へ向かうエネルギーを事前に社内で吸い上げて、是正に役立てようとする趣旨での内部通報制度(ホットライン)を整備する会社が増えているようです。企業側としては内部通報制度の利用は、企業をよくしようと願う従業員の行為であるととらえる必要がありますから、内部通報制度を利用したことにより通報者が不利益な扱いを受けるようなことがあってはなりません。

最近、「内部通報」とか「内部告発」って言葉をよく耳にしますよね。あれって、どこに通報するんですか?

まずは、上司でしょう。

そうですよね、たぶん。でも、もしも、その上司がヤバイことしていたら、言いにくくないですか?

前の会社には、「ホットライン」という制度がありましたよ。

うちの会社にもありますよ。内部通報の通報先としてうちの会社の場合は、監査室に通報することになっています。

外部の弁護士あてにする会社もあるわね。それに、匿名での通報を許容する会社と実名での通報を要求する会社とがあるわ。企業内部で不正を発見した場合には、ただちにそれを上司である管理職へ、そしてまたその上司である役員へ報告するといったシステムで、その是正をはかるというのが望ましいけれど、不正な行為をしているのがたまたま上司だった場合には、その報告は握りつぶされるおそれもあるし、そうした報告をすると上司から報復を受けることをおそれて部下は報告自体をためらうこともあるでしょう。そこで、社内で不正な行為が行われたことを発見した場合に、通常の報告ラインを利用すると支障があるときには、特定の通報先に通報することができる内部通報制度(ホットライン)を設ける会社が多くなってきているの。

そうですよね。それが聞きたかったんです。でも、通報したことで左遷とかよくないことが起きるなんてないでしょうね。

それなら大丈夫。違法行為や不正行為の多くが内部告発によって発覚したことを背景に、公益通報者保護法が2006年4月から施行されて、公益通報者を解雇、配置転換、減給といった不利益な取扱いから保護するとともに、この制度によって消費者保護や事業者のコンプライアンスが推進されることが目的とされているから。

それなら安心ですね。どんなことでも言っていいんですか?

国民の直接的な利益に関わる400あまりの法律に違反する行為に限定されていて、切迫性、まさに今、違反が起ころうとしている状況で、不正の目的ではない通報でなければ、保護の対象にはならないの。そして、勤務先企業で是正がはかられることを期待しているのであって、外部への通報を促進しているわけではないことにも注意が必要ね。

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