第一法規株式会社|教育研修一覧

2008/05/27号

~外国人労働者の雇い入れ~の巻

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最近、よく見かける外国人労働者。少子高齢化の深刻な日本にとって、外国人は貴重な労働力になりつつあります。外国人労働者を雇い入れる際、事業主が気をつけるべきポイントについて考えてみたいと思います。

ただいまー。

あれっ、足尾さん。どこ行ってたんですか?探しましたよー。

今日は工場で新製品の仕上がりのチェックって言ってあっただろー。

気合入ってますねー。で、うまくいったんですか?

バッチリだよ。それよりさぁ。工場には外国人がたくさん働いてたぞ。 みんな一生懸命、新製品のために働いてくれてたよ。

外国人労働者って、最近よく見かけますよね。僕がよく行くコンビニの店員さんも外国人っぽいかんじですよ。

でも、外国人を雇うのって難しそうだよなー。それに、就労資格も厳しいはずだし。工場とかコンビニでもOKなのかな?

そうね。確かに、特別な技術や技能を必要としない、いわゆる単純労働への外国人労働者の従事は、原則として認められていないわ。でも、27種類 ある在留資格のうち「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」 「定住者」は、国内での活動に制限は特にないから就労可能とされているし、「留学」「就学」「家族滞在」も、法務大臣の許可を得て一定の範囲でアルバイトをすることが認められているのよ。

じゃあ、工場やコンビニの店員さんはこの中のどれかの在留資格をもっているんですね。もし、就労資格のない外国人を雇ったらどうなるんですか?

雇い入れた側は「不法就労助長罪」になるわね。

えっ。雇った側も罪になるんですか?

もちろんよ。不法就労者本人だけを取り締っても不法就労を効果的に防止することは難しいでしょう?それに、わが国の治安悪化の原因のひとつとして、不法滞在外国人の問題が指摘されていることから、2004年に、それまで「3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金または併科」だった罰則が、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金または併科」に引き上げられたのよ(入管法73条の2第1項)。

厳しいんだなぁ…。

処罰の対象になるのは、
<1>事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
<2>外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
<3>業として、外国人に不法就労活動をさせる行為または<2>の行為に関しあっせんした者、よ。
ただ、どの場合でもその外国人が不法就労者であることを知っていることが要件だから、不法就労者であることを知らなかった場合は処罰されないわ。

な~んだ。

安心するのは早いわ。不法就労者とはっきり認識していなくても、状況からみてその可能性があるにもかかわらず、あえて確認をせずに雇ったような場合には処罰される可能性があるわ。

ひ、ひえ~。

だから、雇い入れるときには、就労を希望する外国人から、「外国人登録証明書」や地方入国管理局が交付する「就労資格証明書」などを提示してもらって確認しておくこともリスクマネジメントのひとつといえるわね。

雇い入れる時には十分に注意する必要があるってことですね。

そうね。それから、07年10月に改正雇用対策法が施行されて、すべての事業所は新たに外国人労働者の雇用または離職の際に、その者の氏名、在留資格、在留期間などを厚生労働大臣に届け出なければならないことになったの(雇用対策法28条1項)。この届出のときに在留資格などを確認することで、不法就労を防ぐ狙いもあるようね。

なるほど~。確認しなきゃ、届出できないもんなぁ。

届出を怠ったり、虚偽の届出を行ったりした場合には、30万円以下の罰金よ(雇用対策法38条1項2号)。

ずっと前から雇っている場合はどうすればいいんですか?

改正法施行の際にすでに外国人を雇い入れている場合は、08年10月1日までに届け出なければならないけれど、その外国人が08年10月1日までに離職した場合には届出の必要はないわ(雇用対策法附則2条1項)。

いろいろややこしいなぁ…。

新製品成功のための貴重な戦力だからこそ、雇い入れるときの確認は十分にしなくちゃいけないな!

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