だれもが簡単に撮影できるデジタルカメラ。日常のちょっとしたひとコマを撮影し、デジカメライフを楽しんでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。気軽に撮ったスナップ写真でも、それをビジネスの場面で利用したいなら、それなりの配慮が必要です。
みち先輩、見てくださいよ!この写真、今度つくるうちの商品カタログに使えると思いませんか?
おっ、写っている人たちのいきいきした表情がいいねー。このあいだの夏祭りで撮ったの?
そうなんです♪
たしかに、今度のカタログのイメージに合うかもなあ…。
ちょっと待って!そういうスナップ写真を商業目的で使うなら、それ相応の配慮が必要だわ!
あっ、えり先輩!!
その写真に写っている人たちはだれなの?
えっと、このあいだの夏祭りに来ていた、一般の人たちです。
そっか。商品カタログにこの写真を使うなら、写真に写ってる人たちに、カタログに写真を掲載することを承諾してもらう必要がありますよね?
そのとおり。私たちは誰もがみんな、肖像権という権利をもっているのよ。これは、本人の意思に反して、自分の肖像が撮影されたり、公表されたりすることを拒むことができる権利なの。いくらいい写真だからって、ある日突然、知らない会社の商品カタログに、自分とわかる写真が掲載されていたら、どう思う?
事前に何の断りもなく、そんなのは許せないですっ!もしかしたら写して欲しくなかった写真かもしれないし。
でしょう。本人がその写真の撮影を許可した意図とは異なる目的で、しかも商業目的でその写真を利用するような場合には、事前に被写体となっている人から、利用の承諾を得ることが必須と考えてちょうだいね。
…こういうスナップ写真って、プライベートで自分のブログに公開するような場合も注意が必要ですよね?
いい指摘だわ。写真をインターネット上で公開すれば、たくさんの人の目にふれることになるわけだから、当然配慮が求められるわね。
そっかあ。いろいろと難しいなあ…。
それから、被写体が一般人でなく、タレントやスポーツ選手など有名人の場合には、パブリシティ権があるから注意してね。その肖像に商品価値(財産的価値)がある有名人の肖像を無断で利用すると、パブリシティ権の侵害行為として損害賠償を請求される可能性もあるわ。
そういえば、写真自体にも、写真の撮影者に著作権がありますよね。
う~ん、写真1枚にもいろいろな権利がからんでいるんですね~。
実は肖像権やパブリシティ権は、特定の法律で直接その権利が定められているわけではなくて、裁判による判例の積み重ねで認められてきた権利なの。
へえ~、そうなんですかぁ。
それにしても、デジタルカメラや携帯電話のカメラが普及するようになって、写真がすごく身近になりましたよね。
本当ね。だからこそ、さまざまな権利に配慮して、ルールやマナーを守ったうえで、写真を撮ったり利用したりすることが求められているのよ。
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