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2008/10/21号

~選挙立候補者への寄付~の巻

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先月、首相が変わりましたね。否応なしに政治への関心も高まってくるのでしょうか、筋野さんもなにやら情報収集に余念がありません。今回は選挙とコンプライアンスについて考えてみましょう。

あれっ、筋野さん。新聞なんて読んで、どうしちゃったんですか?

いやぁ~。取引先の社長がこんどの衆議院議員選挙に立候補する予定らしいんだよ。

えー。すごいじゃないですか。当選したらうちの会社も優遇してもらえるのかなぁ。

そうだなぁ。選挙応援でたくさん寄付でもすれば、何かしらの便宜を図ってもらえるかも。うっしっしー。

こらッ!何を企んでいるの!だいたい、会社が選挙立候補者に寄付をするのは違法なのよ。

えっ、そうなの?

政治資金規正法によると、会社等は、政党や政治資金団体以外の者に対して、選挙運動を含む政治活動に関する寄付をしてはいけないことになっているのよ。この「政党や政党の支部、政治資金団体以外の者」ってところに公職の候補者も含まれるの。

じゃぁ、候補者個人にではなく、政治資金団体とかに寄付すればいいってことだね。

まぁ、そうね。その場合でも1年間に寄付できる金額の上限が、会社の資本金によって細かく決められているのよ。それから、国や地方公共団体からの出資や補助金を受けている会社や国や地方公共団体と請負契約などの利益を伴う契約の当事者になっている会社、赤字を出している会社なんかも寄付行為に制限があるわね。

へぇ。知らなかったなぁ。

外国人からの寄付や匿名での寄付も禁止されているのよ。

個人がする寄付はどうなの?

個人の寄付行為は、政治活動に関しては金銭等でなければできることになっているわ。例えば事務所を無償提供するとかね。選挙活動に関しては金銭の寄付もOKなのよ。

じゃぁ、筋野さんが個人的に社長さんに寄付する分には問題ないんですね。どうですか?筋野さん。今からたくさん寄付しておけば、将来は・・・。

まったくもう!将来の職務権限に関する便宜を目的とした寄付行為は、極端な話、贈賄罪になることもあるのよ。政治とお金の問題は国民の関心も高いし、慎重に行動しなきゃだめよ。

まあまあ、落ち着いて。大丈夫ですよ。筋野さんには寄付できるほどのお金はありませんから。

それもそうね。

あのー。そこ、納得するところじゃないんですけど。まぁ確かに、毎月、給料日前はカツカツだけどさ。

筋野さん自身の財政再建が先ってことね。

とほほ・・・。

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