足尾さんがなんだか嬉しそうに作業をしています。よくみると、求人広告を作っているようですが…。
足尾さん、何してるんですか?
おうおう、わが商品開発部は人が足りなくてね。求人広告を作ってるんだよ。
この不景気に景気の良い話ですね!
まぁ不景気には変わらないから、これぞって人がみつかればだけどね。
しっかしなんでそんなに嬉しそうに作っているんですか?
俺、商品開発部で一番の若造でしょ。だから、分かるだろ…?
え、分かるだろって…。何ですか?
俺よりも若いヤツを雇えば、俺も晴れて一番若いヤツにわりふられる雑用から解放されるからな。だから求人広告に「23歳~29歳まで」って年齢制限を設けようと思ってるんだよ。
ちょっと待って! 何で求人広告に年齢制限の項目があるの?
げっ、えり先輩!
げっ、ってなによ? 失礼しちゃうわ。
あ、若いヤツ入れてこきつか…、いえ、若い人材のほうがフレッシュで職場が明るくなると思って…。
足尾くん、年齢を制限した求人ができなくなったこと知らないの?
え、そうなんですか。
平成19年10月から施行された改正雇用対策法第10条によって、労働者の募集および採用において、原則として年齢制限が禁止されたの。一定の例外を除いては、年齢を制限した求人広告は事実上できなくなったのよ。
いままで我が国の求人の大多数は、募集対象年齢を表示していたものだったけど、これが事実上、中高年齢者や年長フリーターの求職活動を困難にしていましたよね。
中高年齢者らの厳しい求職状況を緩和し、中高年齢者らの就職の促進を図ろうとしたのがこの改正の背景よ。
そういえば、ハローワークとかでも年齢が上がると仕事が見つからなくなるって聞きますね。
この年齢制限に関しては、例外事項もあるわ
たとえば、定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を、期間の定めのない労働者として募集および採用を行う場合ね。
また、労働基準法等の法令の規定により、特定の年齢層の労働者の就業等が禁止または制限されている業務について、当該禁止または制限されている年齢層の労働者を除いて募集および採用を行う場合などがあるわ。
詳しくは雇用対策法施行規則1条の3第1項に書かれているから調べてみてね。
でも、洋服屋さんとかだと、若い人を対象にしたお店と年配の方を対象としたお店とでは、採用する人もそれなりの年齢にあった人のほうがよいアドバイスができたりするんじゃないですか?
そういう場合は募集する際に、職務内容や職務遂行に必要な適性、能力、経験、技能などをできる限り具体的に明示して、応募しようとする人に対して自分がその職務に適しているか、また、自分が応募して採用されるかの予測可能性を与えるように工夫すればいいの。
みちの言うような場合、「16歳から20歳までの女性を対象としたカジュアル系の衣料品販売店です。来店したお客様にファッションのアドバイスをしながら最も似合った商品をお勧めする業務です」というような感じでね。
さて、求人広告考え直さなきゃ…。どういう理由つけるかな…。
うちの職場は、特に年齢制限を入れる必要はないわ。そんなこと考える暇があったら仕事してちょうだいね。
は~い。
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