最近、しきりにメタボを気にしている足尾さん。大麦さんにダイエットの方法を教えてもらおうと、勢いあまって…。
大麦さん。麦飯って痩せますか?僕、冬の間に太っちゃって。見てくださいよー、このお腹。すっかりメタボですよ。
ギャー、足尾さん。脱がなくていいです。見たくないです!「セクハラ」ですよー。まったくもう!
えっ。セクハラ?そんなつもり、ないですよ。ただ僕は、大麦さんにこの惨状をわかってもらおうと思っただけで…。
足尾さんがセクハラですって?!
あ、えり先輩。大丈夫です、ちょっとビックリしてしまって。でも「セクハラ」って、いろいろなケースがあるから難しいですよね。
そうね。セクハラは「相手の意に反する性的な言動」と定義されるけど、状況は多様だし、人によって感じ方もさまざまだから、セクハラに当たるかどうかの判断は、個別の状況を考慮する必要があるわね。それと、セクハラの被害者は女性とは限らないのよ。男性が男性に、女性が女性に、そして女性が男性に対して行うケースもあるの。
誰もが被害者にも、加害者にもなる可能性があるんですね。会社は、セクハラ対策としてどんなことをしているんですか。
社内報で社員の意識啓発をしたり、相談窓口を設けたりしているわ。男女雇用機会均等法は、事業主に対して○セクハラ防止に対する事業主の方針の明確化と、労働者に対するその周知・啓発、○セクハラの相談、苦情などへの体制整備、○事後の迅速かつ適切な対応などの措置を講ずるよう求めているからね。必要な措置を講じずに、是正指導にも応じない場合は「企業名公表」の対象にもなるのよ。
不快な性的言動を受けたときは、どうすればいいんですか。
はっきりと拒絶の意思を相手に示し、その行為がセクハラだということを相手に伝えることが大切よ。がまんしたり、無視したりすることは、事態をさらに悪化させることにもなりかねないからね。
うーん。でも、相手次第では言いにくいかもしれませんね。
伝え方には工夫が必要ね。こういう言いにくいことを指摘するためにも、日ごろからコミュニケーションをしっかりとって、人間関係の基盤をしっかり築いておくことが大切だわ。あとは、一人で解決しようとするのではなく、速やかに会社の相談窓口担当者や信頼できる上司に相談し会社としての対応を求めることも大切なのよ。
いずれにせよ、自分の気持ちを言い出しやすい、風通しのよい職場環境や組織風土が大切っていうことですね。
そうそう。自分の考えや気持ちを率直に口に出せない雰囲気だったら、さっきの大麦さんみたいには言えないし、会社がどんなに立派な仕組みを作っても、有効に機能しないわよね。
たしかに。大麦さんに言われなかったら、いろんな人に見せて回って大問題になってたかも。
足尾さんのためにもなったということね。こんなふうに、仲間同士で気軽に注意し合えれば、セクハラに限らず、コンプライアンス違反の予防にもつながるわよね。そういう風土づくりのカギになるは、やっぱり、日ごろのコミュニケーションかしら。・・・そうだ!来年度の研修テーマはこれにしましょう。「コンプライアンス推進のためのコミュニケーション・トレーニング」。うーん、我ながら名案だわ。
いいですね。研修が楽しみです!
参考:
厚生労働省「事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!」
厚生労働省東京労働局
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