著名な先生に講演をお願いした際、講演内容など録音して使いまわすなどしていませんか?
この間の社内研修のコンプラセミナー良かったですね~。
そうね。著名な先生が来て講演してくれたから大盛況だったわね。是非、社内全体に広めて意識を高めたいわね。
そう思って、私、手を打っておいたんですよ。えへへへ。
足尾さん、いつも気がきくわね。でもどうやって手を打ったの?
それはですね~。実は、先生の講義の一部始終を録音しておいたんですよ。
その録音した講義データを社内報や社内WEBに載せようと思ってね。
え?!録音していたの?
そうですよ。また先生頼んだら講師料かかりますし、録音したデータを社内WEBサイトに載せればいつでもどこでも講義聞き放題でしょ。
それって何かまずいんじゃ……。
足尾さんまたまずい事やろうとしているのね!足尾さんがやろうとしている事は、れっきとした著作権侵害よ。
まずは、録音行為自体が複製権の侵害となりますね。そして今回問題となってくるのが「口述権」の侵害です。他人の講義や講演を録音したものは著作権法上の「口述権」の対象となり、当該著作権者(「著名な学者」)に無断で利用することは著作権侵害となり得ます。
なんか難しい法律ですね~。
では、教えてあげる。著作権上の「口述権」とは、著作者は、言語の著作物を、公に口述(「言語の著作物を朗読その他の無形的な方法により再生して、これを口頭で伝達する行為」。ただし、「実演」に該当するものを除く)する排他的権利があります。そして、これを、著作権法上「口述権」というんですよ。この口述権には、上記のとおり著作物の口頭での伝達だけではなく、これを、録音物(テープ、磁気ディスク等への録音)や、録画物(ビデオテープ、磁気ディスク等への録画)として、再生することが当然に含まれているのよ。だから、他人の講義や講演を録音したものを、当該著作権者(「著名な学者」)に無断で利用することは、それが社内報であっても、著作権侵害となって、著作権法に違反することになるのよ。あと、参考までに、例えば、会社内での会議や株主総会等で、発言者が、非営利(無報酬)で行ったような発言は、口述権の対象となる可能性は低いと思われるので、社内報や、議事録化することには法的な問題はないといえるでしょう。
そうなんですか?知りませんでした。経費削減になると思ったんですが~。
どうもすみませんでした。
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