少子化が深刻さを増す日本。企業の育児休業制度の整備が進み、出産・育児を経てもなお働き続けられる環境も整いつつあるかのように思いきや…。
あら、かわいい赤ちゃんですねぇ。足尾さんのお子さんですか?
友達の子どもですよー! 今年の春に生まれたんですけど、大きくなったって写真を送ってくれたんです。
まぁ。そうでしたか。どうりでかわいいと思いました。
ひどいな、もう。でも、もっとひどいことがあったんですよ。その友達の奥さん、育休中なんですけど会社から退職勧奨されたみたいで…。
それはひどいですね。
いわゆる「育休切り」ね。
「育休切り」? せっかく制度があるのに、使ったらクビって、おかしくないですか?
男女雇用機会均等法や育児・介護休業法では、労働者が妊娠や出産したこと、産前産後休業や育児休業等を申し出たり取得したりしたこと等を理由とした解雇やその他不利益な取扱いをすることを禁止しているわ。
じゃ、なんで…?
世界的な経済危機で経営が悪化したことが大きな理由でしょうねぇ。
そういえば、「育休切り」の相談件数が増えてるってニュースを聞いたことがあります。
ひどいなー。何とかならないんですかね。法律に違反しているのに。
そうね。これまで育児・介護休業法には法違反に対する制裁措置がなかったんだけど、実効性を確保するために政府は法改正をして、勧告に従わない企業は企業名を公表したり、悪質な場合には過料が科すことのできる規定を設けたのよ。
企業名を公表されたら、即イメージダウンですね。
それから、育児休業の取得等に伴う苦情・紛争について、紛争解決の援助や調停制度を設けることになったわ。今までは、妊娠・出産に伴う紛争は調停制度の対象になっていたけど、育児休業の取得に伴う紛争は対象外だったの。
安心して育児休業を取得できる環境が整いつつあるということですね。
改正法にはほかに、3歳未満の子どもがいる労働者への短時間勤務制度創設の義務付けや、男性の育児休業取得促進策なども盛り込まれていて、2010年に施行される予定だけど、いわゆる「育休切り」に関する部分は前倒しで、今年の9月30日から施行されるのよ。
えっ。本当ですか。これで友達も安心しますよ。さっそく今夜にでも飲みに誘って、教えてあげよっと。
うれしさのあまり、飲み過ぎないでくださいね~。
はーい。
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