最近、従業員のワーク・ライフ・バランスを推進するために、結婚時に配偶者と同居できる地域に転勤できる制度を設けたり、子育て中は勤務地を限定できる制度を設けたりする会社も増えていますが、「家を買った途端、転勤になった」という話もよく聞きます。持ち家を取得したことを理由に、転勤を断ることはできるのでしょうか?
(メールを見て)ええ~っっっ!?
そんなに驚いて、どうしたの?
○△商事の佐々木さん、来月から大阪に転勤するみたいです。
佐々木さんって、確か、新婚で家を買ったばかりよね。
そうですよ~。新婚だし、転勤断れなかったんですかね~。
二人とも、どうしたの?
あっ、えり先輩!
○△商事の佐々木さん、家を買ったばかりなのに、転勤になったんです。
転勤って、断れないんですか?
就業規則などに、「必要に応じて転勤を命じることができる」旨が定められていれば、会社は、その都度、社員の同意を得ることなく、転勤を命じることができるのよ。
どんな場合でもですか?
「家族に自分が面倒をみなければならない重病人がいる」「子どもの養育が困難になる」などの理由がある場合は、会社はその状況に配慮する必要があるのよ。
「新婚」っていうのは理由にならないんですね…。
そうね。単身赴任のために家族と別居せざるを得ないという程度では、転勤を拒否できる正当な理由にはならないとされているわ。
そうですか…。それにしても、奥さんに会いに来る交通費とか、お金がかかりますよね。
会社によっては、転勤によって社員に生じる不利益を軽減・回避するために、赴任手当や週末帰宅の交通費を支給するなどの措置を取っているところもあるのよ。
佐々木さんも、交通費が出るといいけどなあ。
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