第一法規株式会社|教育研修一覧

2010/02/23号

~熱いものには蓋を?「リコールにつながりかねないクレームを隠したら?」~の巻

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寒い日が続く中、足尾さんが新しい商品を開発したようですが…。その商品をめぐってまた怪しい駆け引きが…。

今日も寒いですねえ~、フッフッフッ…。

足尾さん、寒いって言って何をいきなり笑い出してるの?

いやあー、この寒さで先月、我が商品開発部が世に送り出した最新型暖房機「ぬくぬく瞬間暖房」が大ヒット間違いなしだと思ったら、つい…

お湯を利用したクリーンな暖房ね。確か、この前、怒ったお客様から問い合わせが入って対応してなかった?

ああ、あの問い合わせね。あまりにも早く最高温度まで上がるから、スイッチを入れるときにスイッチに接しているパネルを触ってしまって、火傷しそうになったらしいんだよ。

ええ?足尾さん、ちゃんとその話、部長に報告した?

報告?してないよ。注意してもらうように説明をして、納得してもらったから大丈夫だよ。

でもクレームは、1件じゃなかったはずよ。

う~ん、確か、先週も1件あったような…。でも、新製品をバンバン売ろうとする時期のクレームだからなあ、そんなクレームで水を差したくないんだよな~。

でももし火傷するお客様が出たら大変よ。やっぱり部長に報告して対策を考えてもらったほうが…。

大麦さん!!!そんなに僕の開発した商品にケチをつけたいの?会社の売上げのためを思って作った僕の自信作だよ!!!

そんなに怒って!「瞬間暖房」になっているのは足尾くんじゃない。もしかしたらこの商品、先週コンプライアンス推進室からのメルマガで取り上げられていた「リコール」の対象になる可能性があるかもよ!

えり先輩!「リコール」って???あっ、最近「ぬくぬく瞬間暖房」の開発に忙しくてメルマガ読むの忘れてた…。「リコール」ってなんでしたっけ?

商品開発担当者なのにそんなことも知らないの?一言でいうと「製品に欠陥があった場合に、製造業者が無償で回収し、修理や交換を行うこと」なの。もし、リコールの必要があるのに放置したら、大変なことになるわよ。

ええ~?!

自社製品に使用者や消費者の健康を害したり、事故を起こすおそれがあることがわかったにもかかわらず、放置したり、製品回収をしなかったりして、使用者や消費者に怪我や死亡などの被害を生じさせた場合には、業務上過失致死傷罪などの刑事責任が追及されることもあるのよ。

うっ、業務上過失致死傷罪?何だか犯罪者みたいな。

このままでは足尾くんも犯罪者になるかもよ!

犯罪者にならないためにはどうすれば…?

欠陥商品や危険商品の存在を認識した場合、その影響度などを直ちに確認して対応策を検討する体制を構築することが必要よ。それに、リコールにつながるような情報は直ちに会社の経営者にも開示・伝達することができるようなクレーム管理体制を整備することも必要よ。

もし、リコールを行わなければならない事態になってしまったとしても、早い段階で会社の方針を明確にすることで、消費者の信頼を損なう度合いを最小限にすることができるはず!それこそがお客様の信頼を勝ち取って永続する企業への近道ですね。足尾さん、すぐに「ぬくぬく瞬間暖房」に寄せられているクレームを部長に報告してきてね。

ふーっ、背筋が寒くなってきた…。でも犯罪者になるよりはましか…。早速部長に報告してきま~す。

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