第一法規株式会社|教育研修一覧

2010/03/24号

~外国の競争法に気をつけろ!~の巻

line

最近、企業活動がグローバル化し、外国の競争法(日本の独占禁止法にあたる)によって、日本の企業がカルテル(市場独占を目的とした企業間の合意)等で巨額の制裁金を課される事例が増えています。カルテルの成立要件は各国で異なります。どんな点に気をつけたらよいのでしょうか?

足尾さん、なんだかウキウキしてどうしたの?

同期がアメリカに出張するから、お土産を頼んだんですよ。楽しみだな~。

(いったい何を頼んだのかしら?)いいですね。アメリカには営業で?

あちらのメーカーに、当社の商品「XZ」を売り込みに行くみたいです。

大変そうね。最近、どこも買い叩かれているみたいよ。

そうそう、競合のQ社に知人がいるから、相談してみようかと言ってました。

え?競合に?海外の競争法も厳しくなってるって聞くし、なんだか心配ね。えり先輩、大丈夫でしょうか?

競合とはいえ、日本で知人に相談するだけなんですけど…。

危ないわね。アメリカの市場に影響を及ぼす行動は、アメリカの域外で行われても、アメリカのシャーマン法が適用されるのよ。

しゃーまん法???

市場の独占を禁止し、公正な取引を維持するためのアメリカの法律よ。

ということは、足尾さんの同期が知人に相談したことが、アメリカの市場での公正な取引を阻害する行動と認定されると、シャーマン法が適用される可能性があるんですね。

そうよ。それに日本の独占禁止法では、市場の競争を制限する目的の情報交換をして、それにそって各社が行動をしても、競争を制限する効果がない限り違反にはならないけど、シャーマン法では、市場の競争に影響を与えるかどうかに関係なく違法とされるの。

えっ、効果がなくても?!競合他社の知人に相談するのをやめさせなきゃ!

EUの競争法でも、「公正な競争を制限する目的の合意」はその効果に関係なく直ちに違反とされるのよ。それに、情報交換の場をもつだけで競争法上問題となることがあるから、注意が必要よ。

各国の競争法について勉強しないと、これからのグローバル競争は生き抜けませんね。足尾さん、一緒にがんばりましょう!

<< 一覧へ戻る

line